零の旋律 | ナノ

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 次の日

 朔夜はいつも通り起床していなかった。
 朔夜の部屋に勝手に踏み入れて耳を引っ張って起こす。機嫌が悪そうだったがほっておく。まだ起きてこない朔夜は布団を恋しそうに抱きよせていたから布団を引き剥がす。するとベッドから地面に落下した。
 今度こそ朔夜は目を覚ました。そして機嫌悪い声で俺に怒鳴ってくる。
 相変わらず短気だなぁと心の中で呟いておく。口に出したら今度は雷が降ってきそうだから。流石に当たったら痛い。交わせたら支障はないだろうが、全てをかわしきる自信はない。
 しぶとそうだし。
 そして朝食を、今度は俺が作って朔夜に食べさせる。

「パンは作らないんだな」

 そんなことをいってきた。パンは普段買ってばかりだったから自分で作る方法を知らないだけだ。いつかマスターしようとは思っている。
 食べ終わったら、ボサボサしていて見ているだけでストレスがたまりそうな朔夜の髪をとかす為に洗面所に朔夜を連行する。その際暴れたが力づくで抑える。
 やっぱり力がない。なさすぎると思う。
 少し鍛えた方がいいのにとか考えながら頭を洗いブラシで髪の毛をとかす。
 髪の毛を人に弄られるのが嫌いなのだろうか相変わらず暴れる。髪の毛をポニーテールにしてやろうと、縛ろうとしたら断固拒否された。

 仕方ないから、縛るのは諦める。なんでそんなに髪の毛を縛るのを嫌がるのだろうか。
 手入れをしないのなら、縛っていた方がまだ邪魔にならないのではないだろうかと思う。
 まぁ、俺自身髪の毛を伸ばしたことはないから何とも言えないのだが。



 その後榴華と柚霧が朔夜の自宅にやってきた。

「あぁ? もう仕事終わっただろう?」

 朔夜が喧嘩腰で榴華と話す。見なれた光景なのか柚霧は特に気にしていないようだ。
 相変わらず柚霧はこの場に不釣り合いな程大人しい女性。多分榴華がこの街にいなかったら柚霧はすでに死んでいたのだろうなと思ってしまう。
 喧嘩なれた俺が見る限り戦えるように到底思えない。それとも朔夜見たく遠距離から術でも使うのだろうか、想像がつかない。人はみかけによらないとかいうけど、柚霧はみかけのままだという。

「事後報告しにきたんにー、つれないなぁサクリンは」
「いい加減その呼び方止めやがれ」
「そうそう篝火はん」

 あっ、ついに俺にもあだ名が。
 まぁサクリンよりはかなりましなので特に気にはならないが。これが朔夜と同じでカガリビンとか呼ばれたら殴りにかかるけど。


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