零の旋律 | ナノ

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 あっという間に20人程度いた輩は2人まで減った。
 この二人は実力は他の二人より多少上だろう。今まで生き残っているのだから、いや誰も殺していないけど。朔夜の方も殺しは好まないのか寸前のところまでは追いこんでも止めは刺していない。もっともこのまま長時間放置されたらどうなるかは分からない。
 医学に詳しいわけでもないから、判断のしようがない。

「何故君らが此処に?」

 他の奴らとは違い多少冷静だった。流石ボス角。実際にボスかは知らないけど。興味ないし。
 例えばこいつらがこのまま俺が手を下さなくても死んだとして、俺には何の関係もない。まぁつまり人は悪かれ我善かれってことだよな……そんなもんだよな。


「脅迫されましたっと」
「脅迫? あぁ、榴華にかい? ならば私と一緒に来るかい?」
「仲間になる利点が思いつかない。お前は何故榴華を?」

 榴華の名前を出した途端相手は不機嫌な顔をする。といっても傍らにいるほうだけで、話をしていた方は眉ひとつ動かさない。
 どうやら臣下と王様といったところか。

「不倶戴天でもあるのか?」
「ふぐ……たいてん?」
「少し言葉の勉強でもしたら?」

 不機嫌な顔をした臣下と、不機嫌な顔はしていない王様を挑発してみる。これで挑発に乗ってくるような相手ならば楽だったのかもしれない。
 少なくとも俺の心境を抉るような真似にはならなかったのだろう。

「挑発にはのらないよ。知らない言葉なら後で調べれば気が済むことだし」
「そう、じゃあ意味を教えてあげる。絶対に生かしておきたくないほど深い憎しみがあることってこと」
「為になった」

 淡泊に答えるが、それは感情を規制しようとしているだけ、心の中は荒れ狂っているのだろう。

 俺にはわかる。
 例えその原因が違ったとしても。
 あの表情は同じだ。
 どうしようもない怒りと絶望にさいなまれながらそれでも死することが出来なくて、別の何かに怒りと絶望をすり替えようとしている。
 
 臆病者だ。
 喪失感に耐えきれなくなって死を求め彷徨いながらも死を目前とすると身体は生を求める
 
 そうして結局死にきれないただの死にぞこない。

 だから――榴華を殺そうとしたのか
 理解したくないのに、今の俺だからこそ理解してしまった


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