第二話:出会い 玄関につくと朔夜は扉を開ける。 長く家を空けていたのにもかかわらず鍵はかかっていなかった。ドアノブには鍵穴がしっかりしかも二つもついているというのに。 密かに今度盗みに入る時のターゲットにする。 どうせ、今だけの関わり。ことが終わればさようなら。 扉を開けるとそこは魔の巣窟だった。 唖然とする俺をよそに平然と魔の巣窟に足を運ぶ朔夜。 「どうした?」 扉を半開きにしたまま固まっていたのが気になったのだろう声をかけてくる。 「あぁ、いやお邪魔します」 例え此処が魔の巣窟だとしても人の家。そう言い聞かせて俺は室内に足を運ぶ。 自然と脳内から盗みに入る家候補から除外されていた。 一人暮らしだからだろうか。本人がだらしないのだろうか、部屋は散らかっていた。 足の踏み場があるのがまだ幸運な状態。あちらこちらに放置された服服服服服の山。脱ぎっぱなしで放置されている。洗濯しているのか気になる状況だ。それだけじゃなく、色々な物が床に錯乱している。 ソファーの上は物置状態。引き出しは殆ど開けっぱなし。 ごみ袋があちらこちらに転がっている。ごみが溢れていないのが救いか。 部屋は広々としているのに、散らかりまくった状況でかなり狭く感じる。 朔夜は横のものも縦ににもしない奴なのだろうか。 一体何処で寝ればいいのだろうか。そんなことが脳内をちらつく 「あぁ、寝る場所は、あの部屋仕え。今使ってないからベッドが二つある、好きな方選べ」 そういって言われた部屋を恐る恐る開けると、そこは埃の巣窟だった。散らかってもいないが長年使われていなかったのだろう埃がたまっている。物置というわけではない。 整理整頓された部屋。ベッドが二つ。誰かが住んでいたのだろうか、そしてその人たちがいなくなってから、使われなくなり、放置された気配が漂う。 「んじゃ、お休み」 朔夜は自室と思われる場所に一人さっさと入る。扉があいたときに僅かに部屋の様子が見えたが、何処もどっこいどっこいの状況のようだ。 俺は自分に一日だけの辛抱。そう言い聞かせて寝ることにした。 次の日榴華がチャイムも鳴らさないで入ってきた。此処が鍵がかかっていない家だとばれているらしい。朔夜自身は到底ばらすとは思えないし。 柚霧も一緒だ。一人丁寧にお邪魔しますという声が聞こえてきた。 そして榴華が悲鳴を上げた。いや奇声でも。 「にょわぇげぇあぁ!?」 気持ち悪い。柚霧は手を口に当てて驚いている。 「なんだ」 「えっと、家間違えました。お邪魔しました」 榴華の口調が普通になっている。そしてそのまま榴華は帰宅しようとする。とりあえず肩を捕まえておく [*前] | [次#] TOP |