V 街を散策しようと、路地裏から出て大通りに出る。本当に、一見すると上と変らないように生活をしている人々。全員が罪人ってことを除けば。 目の前にこの街で珍しいだろう、若い男がいた。苛々しているのか眉間に皺が寄っている。 珍しいなぁと眺めていたら前を見て歩いていないのか此方に近づいてきた。 そして避けようと俺が思うより早く、ぶつかる。 気づけよと思わずにはいられない。 「あぁ!? てめぇなんだ」 柄の悪い不良に絡まれたもんだ。 「ぶつかってきたのはどう考えてもそっちだろ?」 そして言い返す俺も俺だ。売り言葉に買い言葉だ。 「はぁ? んなもん知ったこっちゃねぇんだよ」 「いやいや知れよ、お前」 「はぁ?」 何故そんなに機嫌が悪いんだか。額に青筋が浮かんできても不思議ではない勢いだ。 白髪は伸ばしっぱなしなのか、腰ぐらいまで長い、一部だけ赤メッシュが入っているのが目に入ってきた。 年は俺より2つ3つ年下だろうか。一体何をしてこの地におくられたのか。 まぁ所詮他人事。どうでもいいけど。 一触即発な雰囲気が漂いはじめる。まぁ俺もこいつ何か気に入らないから、構わないんだけど。 「はいはい〜、何やっているん」 そこに能天気な声が聞こえる。しかも怒りを和らげるような声ではなく、どちらかというと怒りを増大させような。止める予定で来ているんだろうが、どう見ても言葉のかけたかを間違えている。 「なんだよっ、邪魔すんじゃねぇ」 「サクリンの八つ当たりで街壊された困るヤーン」 「てめぇのそのいい方の方がむかつく」 「ひどっー」 能天気の声の持ち主はおどけたようにいう。道化師でも目指しているのか、馬鹿馬鹿しい。 「っち」 白髪の少年は苛々したまま姿を消した。 「自分新しく来た人?」 「そんなところだ」 「へぇー自分何日目?」 「どうでもいいだろ」 興味がない。 「まぁ、えぇけど。この街のルールおしえよっか?」 親切心のつもりだろうか。こいつからは別段優しさは感じられない。 「どうでもいい」 本当に。死ぬなら死ねばいい。生きるなら生きればいい。 俺はその人物の声を無視して歩き出す。実力行使にでもでてくるかと思ったが出てくる気配はない。 力に自身がないのか、それ以外か まぁそれ自体もどうでもいいんだけどな。 この街では人を見たら泥棒と思っていた方がいい。どうせ、この街は罪人の牢獄。罪人たちが暮らす街なんだ。 真っ当ではない。勿論――俺も。 [*前] | [次#] TOP |