零の旋律 | ナノ

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 もし、僕が鳶祗に罪人の牢獄に一緒に行くことを頼んだら……エンちゃんはついてきてくれるのだろうか。
 そうしたら……エンちゃんは大嫌いだけど心強いな。
 エンちゃんの実力は知っているからね、それに僕が今まで何度殺そうとしても死ななかったわけだし。

「もしも、泉が夢華を殺したら僕は泉を殺すよ」

 僕は立ち上がり、服についた草を払う。

「泉に勝てるとでも?」

 呆れた表情でエンちゃんは僕を見ている。
 まぁ、僕も勝算があると考えているわけではないけどね。
 でも、同時に負けが確定しているわけでもないよ。

「その時は、エンちゃんが手伝ってね?」

 二対一が卑怯だなんて思わないよ、目的を達成するためなら、なんだって構わないのだし。
 そもそも泉一人とは限らないし。

「げぇ、俺が手伝ったところで……」
「手伝ってくれるよね?」

 エンちゃんは大嫌いだけど、利用できるときはするのが僕だから。
 そんなことはエンちゃんも承知の上だけど。

「わかったよ」

 エンちゃんは承諾してくれた、承諾した原因はわかっている。
 泉がそんなことはしないだろうと思っているからだ。

 相変わらず甘い。
 ブラックコーヒーとかはエン飲めないだろうなぁ、絶対砂糖ドバドバな甘党だよ。
いや、そこまでエンちゃんの好みとか興味ないから知らないけど。


「まぁ、それより夢毒を殺すのが先だけど、あいつには……あはっ」

 夢毒は簡単には殺さないよ、僕が簡単に殺すはずないでしょ。

「そっちは手伝わないからな、むしろやめろ」
「やめろっていって僕が止めるわけないでしょ? 僕に楯ついたんだ、命一つじゃ足りないよ」
  
 そう、いくら夢毒が僕を夢華を使って陥れようとしたって……

「分家の分際で雅契当主に勝てると思うな」

 僕の敵に回るもの全て欠片も残さないで始末してあげるから――


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