Prologue ――生きていようが生きてなかろうが、誰も困りはしないだろ? 全てを見透かす様な瞳は、一見すると優しげに映るがその中に眠るのは無慈悲で残酷な色。 誰が生きてようが死のうが構わない。目の前で死にゆく人がいても、何も感じない。 誰が泣いても笑っても、彼には何も関係がなかった。 唯、目的が達成するために誰が犠牲になろうと、誰が壊れようとも、そんなものは盤上の駒が敵に取られ、駒が減ったこと程度にしか関係ない程に、現実としては見なかった。 「自分から手を上げといて殺すな? なんとまぁ調子のいいことが云えるんだな」 青年は笑う。下らないと、生きるか死ぬかのこの場所で命乞いとは愚かしい。 命乞いをするのならば、最初から盾突くな。 「大切な人に手を出そうとするなら、お前らを生かしておく必要はないんでな」 青年は手を上げる、迸る紫電。一瞬の出来事。 大切な人を守りたいだけの刃。その為なら青年は何だってした。 [*前] | [次#] TOP |