零の旋律 | ナノ

Prologue


 ――死なないと思っていた、何時までも笑いあえると思い込んでいた
 ――おかしいよね、人はいつか死ぬのに


「あはははははははぁつあああああ」

 歪に歪んだ自嘲が周囲を空しく木霊する。

「あはははああはあはははははははは」

 一人、叫ぶ渾身の限り叫ぶ
 頬を伝わる涙
 狂ったように叫び続け狂歌を紡ぐ――


 罪人の牢獄、人が罪を犯したときに送られる牢獄。
 そこに柵はない、枷もない
 けれど元の場所に戻ることは叶わない絶望の大地


「此処は何処だよ」

 一人の青年が堕とされた。
 辺り一面を砂が覆う。一歩一歩不確かな足取りで進んでいく。
 風に運ばれ砂が服に、髪の毛に纏わりつく。

「何処だよ」

 青年は呟く。金の髪の毛を揺らしながら、虚ろな金の瞳が前を見る。
 生を求めているのか、絶望しかないと知りながら希望を求めているのか


 ――君と僕は……嫌いであり、そして大好きでもあった


『生きていてお願い。君と僕は――』


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