零の旋律 | ナノ

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「落ち着きのないやつだな」

 炬奈はぽつりと正直な感想を漏らす

「ねぇ、姉さんどうするの?」
「どうするか」
「俺は姉さんに従うけど」
「ならば様子でも見るか」
「わかった」

 朧埼は手に紐を携えて足手まといにならないように戦闘態勢に入る
 ただし、炬奈とは違い、相手に気づかれないように武器を構えて隠すなんて器用なことが朧埼には出来ない。相手には普通に気付かれ、梓の後ろに控えている罪人達の眉がぴくりと動くのがわかった。
 しかし、それでも梓の静止があるからなのか、罪人達は朧埼が武器を構えているのに気づいても攻撃を仕掛けてくるようなことはしなかった。
 梓自信は朧埼が武器を構えたことなど気にも留めていない様子だった。
 二人纏めて掛ってこられても、生き残る自信があるのか、後ろの罪人たちの実力が高いのか――それとも、生死に興味がないのか。


「私はー梓。さっきも名乗ったよねぇー君たちも名前教えてよぉ」
「朧埼、こっちは炬奈姉さん」

 名前だけを朧埼は名乗った。これ以上しつこく名前を求められるだけ、面倒だから。

「素敵な名前ねぇ、可愛いわ―」

 梓は無邪気に微笑む、美しく歪んだ笑みに朧埼と炬奈の二人は一瞬、後ずさりをしてしまう。容姿と会わない言動。

 そして欲しいという梓の言葉に後ろの罪人達は動いた
 梓より前に自ら進み出て、武器を二人の体に標準を合わせる

「きゃはっ、なんだかぁ君たち気にいっちゃったー殺しちゃって。私ほしいなぁ」

 歪んだ微笑で罪人を操る
 美しく妖艶な相貌は他者の命には興味はなかった
 唯、血で歪んだ人を求めているだけだった


「あーでも、ちゃーんと原型はとどめてねぇー」

 うっとりと、自身の唇に人差し指をあてる

「血に塗れたその顔が好きだから」

 その言葉に五人と炬奈と朧埼が反応する
 


 歪んだその瞳

 血に塗れたその頬

 怪しく咲ける口元


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