零の旋律 | ナノ

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「あー釣れないね、まぁだから君は俺の役者の一人なんだけどね」

 意味有り気に呟くその言葉は唯の一人ごと


 跪く彼らに彼女は何も興味を持たない。
 彼らの手にあるそれにも彼女は興味を持たない。

「献上されても別に意味ないんだけどなぁー」

 目の前に渡された、品々を前に気味悪げに顔をしかめながら口元をハンカチで覆う

「別に興味ないし、第一腐敗臭がするんだけどー」

 それは、数時間前に殺された罪人の遺品ともいえる一部だった

「私が興味あるのは血にまみれた原型ある人だけ」

 梓はうっすらと高揚する……
 



 罪人の牢獄と、外の世界を繋ぐ裏の繋がり
 そんな狭間で彼と彼は会話する

「誰かをお前は役者として探し求めるのかい?」
「あーうん。そうだな、永遠と繰り返して繰り返し続ける、役者という名の見せしめの道具を探し求める」
「ひっどいね」

 彼の者は薄笑う、別に軽蔑をしているわけではない。

「人としての道を踏み外した君には言われたくないよ」
「私は別に人間という存在そのものに興味がそもそもにわかないんだよ」
「「人間」ねぇ、人は人としての個体である以上は人間なんじゃないのかい?」
「そうだねぇ、だから人を望まないんだよ、結局は人でしかなくて人間という枠からは超えられないから、だから私は人間という存在に興味を抱かない」

 彼の者は長い銀髪を揺らしながらそう言う。
 人の形をしていながら、銀髪の青年に言わせれば異形な存在
 彼の者は、人間でありながら、人間であることを望まない存在

「俺と君は似ているのかな」
「似ているんじゃないのかい? じゃなければ政府が忌み嫌うような存在が巡り会うことなんてありえないだろうし」
「政府か、罪人を恐れながら罪人を求める矛盾した存在」
「人は皆一様に邪魔くさくて矛盾した存在だよ」

 彼の者はそう言って、銀髪の青年に背を向ける
 青年と同じ色の髪が左右に揺れる
 美しくて流れるような長髪が黒い帽子から見え隠れする

「それに、似ている理由は他にもあるじゃないか」



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