第四話:失いたくない 「っち、」 突然の来訪者が増えたことに炬奈は悪態を付きながら 身体を突き刺さる硬質化している腕から身体を引き裂くように無理やり後ろへ下がる 「っ……うぅ」 その途端、無理やりに引き裂いた身体は突き刺さった部分より、より一層穴は広がる。どす黒く重く血が遠慮なく廃墟を赤き血の海へと変貌させていく。 「ふっ……」 濁った血を見る炬奈は微笑む 自らを冷笑しているように 手についた鮮血を 見つめる ――君がね、生きようと思うのならば君もいっそ人形になってはいかが? 誰も何も私を私が私と私も ――夢見たってね、何も得られないんだよ だってさ、見て御覧よ この荒れ果てた土地を 夢なんてない 希望なんてない あるのは、奈落の底 あるのは、絶望の地 血を血で洗う そんな場所さ 炬奈は朦朧とする意識の中で嘗て言われた言葉を思い出した。“人形”を進めてきたあの時の言葉を。 +++ ――ね、夢なんて持つだけ無駄でしょ? だからワタシは貴方に夢を持たせよう そして絶望と奈落の地へとつき落とすんだ あははははは、あははははははははははあぁ ――愛おしくて堪らない あぁ一生アナタをここに束縛していたいわ 私に全ての救いを求めてくる子羊になるまで 鎖と楔で牢獄に繋ぎとめてあげる あははは、ははは、きゃはははははははは 狂って狂歌を謳う 誰も私を止められないわよ!! あははははははははははははははははははははは 美しき狂歌を奏でる [*前] | [次#] TOP |