零の旋律 | ナノ

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 生きているだけで迷惑ならば、最初から生み出さなければいいのに

 何故人は興味本位で禁忌の地へと足を踏み入れて

 その手を真っ赤に染めるのだろうか


「率直に聞きます、貴女はあんなことをしても冷静でいられる人ですか?」
「私は、別に私と弟が成すための目的の障害となる奴がいるのならば、冷静に無情に、この手で引き金を躊躇いもなく引く」

 ――あぁ、この人は私の主と似ている

 炬奈の言葉を聞いた時、唯乃はその時にこの女性を殺そうと決めた
 主と似ているのならば、似た者同士は反発しあうか、意気投合するかのどちらかだ
 似ているなら、この先一度ならず主とこの女性は対面する
 ならば、敵になりえる存在である以上唯乃はこの女性を殺すことにする

 唯乃は静かに、腕を前に突き出した
 グニャリと、形を変えていく腕
 その光景を目の当たりにする炬奈と朧埼
 高質化して、鋭き凶器と化していく両腕
 朧埼を後ろに下がるよう手で合図する炬奈
 静かに構える拳銃

 そのどれもが

 そのどれもが

 殺害理由

 最初に動いたのは炬奈のほうだった
 標準を試しに唯乃の腹部部分に合わせて発砲する。反動で後ろに下がった時に隙が出来ないように両手でしっかりと構えてから

 ――距離が近すぎる

 遠距離からの拳銃の扱いならば、片手で発砲しようが、反動がとあっても直ぐに相手も動くことができないから、その隙に再び連射として打つことができる。
 拳銃の種類も手動式のではなく自動式、7発までなら連射することも可能だった。
 しかし、炬奈と相手の女性との距離は2メートル弱しかない位置だったために、直ぐに女性は炬奈の懐までやってくる。
 先刻試しに撃ったのが、合図となり、女性も攻撃手段を造りだす。
 それは、唯乃に向けられた銃弾をはじき返す。高質化した腕と驚異的な反射神経で――


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