V +++ ぱちぱちと発火音を鳴らしながら揺らめく明るい橙色の炎、炎は決して大きくはなかったが、二人分の場所を照らすのには十分だった。 二人の顔立ちは似ていた。だが髪色や瞳や歳が同じなわけはなかった。 「姉さん、今日はこれで休むの?」 「ああ、こんな場所しかないが、休息は大事だ、疲れてしまった時に誰かに襲われでもしたら元も子もないから」 姉さんと呼ばれた日鵺炬奈は唯一の肉親である弟の日鵺朧埼の右隣りの前に置いてある橙色の炎を灯す機会の近くに手を当てて暖を取っていた。 腰に巻いてあるホルスターは外してあって地面に置いてある。 しかし、何時でも銃を取り出せるように自分の近くに置いておきながら、羽織っていたコートを脱いで自分の膝の上に掛けてあった。 動くのに邪魔にならないように必要最低限以外の物は全て持ってきていない為、寝るときのかけ布団としてコートを常に二人は羽織っているのであった。 といっても床に寝そべってなるわけでもないので別にコートを脱がなくてもいいのだが、ある程度の防具を兼ねているコートは重みを持っているため、常に羽織っていると 肩が疲れるという理由からだった。 「そろそろ、寝た方がいいよ……」 炬奈が何かを朧埼に向けて喋ろうとしたが、その言葉は途中で途切れた。そして地面に置いてあった銃を手に持ち、朧埼を後ろへと軽く突き飛ばした。 「何!? 何どうしたの?」 わけがわからずに突き飛ばされた朧埼だったが、その理由はすぐに知ることとなった。 目の前に真紅の髪と真紅の謎の紋様のしている、硬質的な翼を持つ人物が飛んで目の前にやってきた。優美な、けれど何処か異質な姿が二人の目の前に現れる―― いつか、貴女が貴方が彼方が私を唯一の存在と認めてくれなければ 私は君を、君を造り出した意味はない あぁ、あぁ愛おしい 全てを繋ぎとめておきたい 突如として現れた人物は、人ではあって人ではない――硬質的な翼を纏う優美な女性だった。 唖然とする朧埼と、構えてはいないものの、いつでも発砲することが出来るように両手を銃にそえている炬奈の前に降り立ったつ。 [*前] | [次#] TOP |