T 復讐は復讐しか生み出さない 復讐は憎しみから生まれ、復讐が魂から消えることはない だから復讐をしようと人は想い 実行するのだ、いつか復讐が薄れたと思っていても 対象を目にすると、鎮火してきた炎が烈火の如くうねりをあげて燃えだすのだ 人は復讐を重ねて生きてきている 復讐をしない人なんていない…… ――いつか見た夢は私に希望を与えてくれたのだった。 ――その夢は私に幸せと希望を夢見ていた理想郷を与えてくれた ――だから私はいつまでもいつまでも頑張っれる。 ――そう思ってきたのに 「なっ、なんでよぉ、なんであんたは、私のことを私の事を、何で私を殺すの……ごふ、っごぎゃふ。ハァハァ、私はここで第二の人生を歩もうと。貴方と共……に……」 女性は今にも息が絶えそうな状況に陥っているにも関わらず、女性は自分を殺そうと刃 物を向けてきた男性の顔を最後にもう一目見ようと、思い通りにならない身体で精いっぱい男性を見上げる。 目がかすむ。 ――あぁ、もう私は死ぬ 見上げた男性はどんな表情をしていたのだろう 見上げた女性には男性の顔は見えなかった。 見上げた瞬間に女性の瞼は、熱く焼けるような激痛が身体全体を走った。 悲鳴を上げられなかった。 あまりの痛みに喉は声を上げることすら許してはくれなかった。 漆黒の瞳は今や朱に染まり、血が滴り落ちていく。 焼けるような痛みが神経を伝っていく。 聴覚からは狂気の叫び声が脳へと伝わっていく。 そこにあるのは絶望だけだった。 凶器、狂気、狂喜、狂い、叫ぶ 絶望の旋律を奏でる [*前] | [次#] TOP |