T 居場所が欲しかった。居場所を見つけたら、そこが大切だった。 だから、居場所を奪おうとする者を許さない、それだけだ。 レインドフ家に敵対している謎の人物たちを探して、アーク、キルセ、リテイブは再び街へ赴く。キルセは途中、昨日情報を楽しんだ情報屋が何か掴んでいないか確かめるために、一人別行動をしていた。 「リテイブ。何か怪しいのあったか?」 アークが声をかけると、リテイブは顔を渋らせて黙った。 「どうした?」 「いや、なんでもねぇ」 何か思うところがあるのかは不明だが、再びアークが声をかけるとリテイブはそっけない態度で返す。 「そうか、ならいいけど」 アークがそう返事をした時、前方からバンダナで髪を上げた金髪が走ってくるのが見えた。キルセだ。 「キルセ、どうだった?」 「目ぼしい情報は残念ながら何も。敵が何人で、敵がどれくらいの規模で、組織名はとかそう言ったものは全く手に入らなかった。ただ――」 「ただ?」 「ご丁寧に知らなくても――襲撃してくれるみたいだ」 キルセがそう断言したと同時に、アークとリテイブが反応する。街の入り口にいる彼らの現在地から少し離れた――森の中、そこから殺気を感じ取った。 「へぇ、お前の知っている情報屋はそこそこ役に立つんだな」 「まぁ……な」 その瞳が冷淡なのを知り、リテイブが興味なさげにどうした、と尋ねる。 「いや、簡単だよ。情報屋はそいつらのことを調べてすらいなかったんだから」 「どういうことだ?」 「――調べるよりも早く、レインドフの関係者だと思われた奴らに“殺されていた”」 「成程な」 「あぁ……(悪かったよ、俺のせいで死なせてしまって)」 キルセは心の中で黙とうをする。 「なら何故何もしなくても襲撃してくれるってわかったんだ?」 アークの言葉に、キルセは隠してあるクナイを取り出した。僅かに血が付着して、乾き切っていないことから付着したばかりなのがわかる。 「まぁこういうことだよ」 「成程、情報屋が殺された現場に、いたわけだな」 「あぁ、殺す前に是からレインドフは滅ぶのさ、って高笑いしていたからな」 高笑いが耳ざわりだったから、笑いの途中でキルセはクナイを一閃した。血が付着したクナイを持っているのは、まだ使えるのに捨てるのがもったいないから、それだけだ。 「まっ、襲って来てくれるなら手っ取り早くていいだろ。敵は殺すだけ――だ」 リテイブの赤き眼孔が鋭くなる。 「同感。仕事の邪魔をされちゃたまらない」 アークがその辺に映えている草を抜こうとしたので、キルセは街のコンクリートを勧めた。 「じゃあ――終わらせに行くか」 [*前] | [次#] TOP |