零の旋律 | ナノ

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 リィハとカトレアはお留守番に加えて、リアトリスも屋敷に留まることになった。
 リィハの窓ガラス以下の防御力では何かあった時に困るからだ。

「リィハ。いいのか? 怪我人が動くことになるけど」

 キルセが一応リィハに尋ねると

「別にかまわねぇよ。リテイブが部屋にいる方が物騒だ」

 そう断言された。

「それお前の都合じゃねぇかよ」
「ほんとですよねー。まぁリテイブが留まるよりかは私が留まっていた方が安全ですよ
ねーそれにいくら完治していないからっていっても、大体は動けるでしょーし」

 リアトリスがけらけらと何が面白いのか笑うものだから、リテイブは苛立ちを募らせる。

「ってか、戦力的には俺が留守番していた方がいいと思うんだけど?」

 リアトリスの方がキルセより強い。だからといってリィハのように弱いわけではないが故に、大抵の相手であえれば返り討ちに出来る。
 留守番としての役割は果たせる。

「駄目ですよ。私とリテイブと主だけだったら、万が一の時、脱兎したら困るです―。キルセは一番コミュ力あるんですから、ガンバです」
「……際ですか。まぁ別に構わないけどよ」
「まぁ死んだ時は埋葬してあげるですから、安心して逝って来てください」
「なんか字おかしくなかったか!?」

 キルセが当然のように突っ込みを入れると、リアトリスのボケに続いて

「生きて帰ってこいよ。お前がいなくなったらツッコミ役が俺しかいなくなるんだから!」
「死亡フラグたてるんじゃねぇよ!」

 リィハも縁起でもないことを言い始めた。

「いや、是マジで切実な死活問題だからよ。いっとかないとと思って」
「死活問題レベルまで繰り上げるなよ。ったく」
「俺、ボケだったのか?」
「アークは黙ってろ」

 話しがややこしくなるからと言わんばかりに、バッサリと主の言動をキルセは遮断した。アークはツッコミと見せかけたボケだとキルセは確信している。

「アークにキルセ、それにリテイブ。気をつけてね」

 事の成り行きを見ていたカトレアが、始末屋レインドフ家に似つかわしくない優しい笑顔で告げる。それだけで今までの会話での疲れが癒されるようだった。

「あぁ、行って来るよ」
「字が違うですよ?」
「リアトリスも黙ってろ」

 そんなやりとりをしてから、出発をした。
 場所はキルセが『――ドフ』の会話を耳にした街サエアスだ。


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