X リィハとカトレアはお留守番に加えて、リアトリスも屋敷に留まることになった。 リィハの窓ガラス以下の防御力では何かあった時に困るからだ。 「リィハ。いいのか? 怪我人が動くことになるけど」 キルセが一応リィハに尋ねると 「別にかまわねぇよ。リテイブが部屋にいる方が物騒だ」 そう断言された。 「それお前の都合じゃねぇかよ」 「ほんとですよねー。まぁリテイブが留まるよりかは私が留まっていた方が安全ですよ ねーそれにいくら完治していないからっていっても、大体は動けるでしょーし」 リアトリスがけらけらと何が面白いのか笑うものだから、リテイブは苛立ちを募らせる。 「ってか、戦力的には俺が留守番していた方がいいと思うんだけど?」 リアトリスの方がキルセより強い。だからといってリィハのように弱いわけではないが故に、大抵の相手であえれば返り討ちに出来る。 留守番としての役割は果たせる。 「駄目ですよ。私とリテイブと主だけだったら、万が一の時、脱兎したら困るです―。キルセは一番コミュ力あるんですから、ガンバです」 「……際ですか。まぁ別に構わないけどよ」 「まぁ死んだ時は埋葬してあげるですから、安心して逝って来てください」 「なんか字おかしくなかったか!?」 キルセが当然のように突っ込みを入れると、リアトリスのボケに続いて 「生きて帰ってこいよ。お前がいなくなったらツッコミ役が俺しかいなくなるんだから!」 「死亡フラグたてるんじゃねぇよ!」 リィハも縁起でもないことを言い始めた。 「いや、是マジで切実な死活問題だからよ。いっとかないとと思って」 「死活問題レベルまで繰り上げるなよ。ったく」 「俺、ボケだったのか?」 「アークは黙ってろ」 話しがややこしくなるからと言わんばかりに、バッサリと主の言動をキルセは遮断した。アークはツッコミと見せかけたボケだとキルセは確信している。 「アークにキルセ、それにリテイブ。気をつけてね」 事の成り行きを見ていたカトレアが、始末屋レインドフ家に似つかわしくない優しい笑顔で告げる。それだけで今までの会話での疲れが癒されるようだった。 「あぁ、行って来るよ」 「字が違うですよ?」 「リアトリスも黙ってろ」 そんなやりとりをしてから、出発をした。 場所はキルセが『――ドフ』の会話を耳にした街サエアスだ。 [*前] | [次#] TOP |