有斗の災難 類とも組織のある日。 「あーうー」 返り血を浴びた少女有斗が不機嫌な表情で類とも組織へ帰還した。 「どうされたんです?」 有斗に声をかけたのは都音だ。 「んと。最後に抵抗されて、相手をうまく殺せなかったんだ。お蔭で髪に返り血がついた……」 ネコミミの形をしたフードを下ろすと、有斗の真っ白な髪が血でまだら模様に染まっていた。 「お蔭でイカレ兄貴みたいな髪になった……」 有斗が不機嫌な理由はこれだ。 次から次へと恋人をとっかえひっかえする依有のことを好ましく思っていないが故に、依有と似たような髪型になるのは嫌だったのだ。 「それは災難でしたわね……早く血を落とした方がいいですわ。わたくしが洗って差し上げましょうか?」 「ん、ありがと」 「ではいきましょう。一刻も早く依有模様は落としてしまいましょう」 「うん。そうする」 そう言って有斗と都音が去った後 「僕って嫌われ過ぎじゃない?」 嫌われていた張本人が、特に傷ついた様子なく――むしろ笑いながら姿を現した。その隣には未継も一緒だ。 「お前の場合自業自得だろ」 「えーひどーっい。是でも真剣に好きになれる人間を探しているんだよ! あっ是から僕デートいってくるね!」 「今度は誰と付き合っているんだよ」 呆れながら未継が問う。 「今はね―将来有望な殺人鬼と付き合っているよ!」 [*前] | [次#] TOP |