第四話:再会 「んじゃまぁ帰りますかねぇ」 榴華の呑気な声に促されて、最果ての街を後にしようとする――外に出て暫くした頃合いだった。 「ぬわぁ、自分ら狙われとりますなぁ」 間の抜けた声――でありながら榴華は目の前に集まってきた二人の罪人を見る。 篝火にとっては見覚えのある二人組だった。 フランベルジュとチャクラムを扱う最果ての街の兄弟。 以前、栞がいたために途中で撤退した彼らが、獲物をみつけたといわんばかりに目を輝かせている。 「この豪華面子にやってくるなんてどこの世間知らずやね」 「自分で言うなよ」 篝火が思わず突っ込んでしまう。 「にょほほほ」 「気色悪いから止めろ」 「詰まんないんねぇ。でそこのお二人さん、目的は自分らとみて問題ないんかいな?」 榴華が手を振りながら問う。何か違うぞと思いつつ話が進まなくなるため篝火は黙る。 「……あぁ、そうとってもらって構わない」 「そっか、なら仕方なぁないねん」 榴華は戦闘態勢に入る。それにつられて他の面々も体制を整える。 「多勢に無勢……けど」 フランベルジュを扱う兄の方が独り言を呟いたのち、水渚に向けて突撃してくる。水渚は弾力性のある沫を前方に造り出し、それをばねとして飛び後ろに回る。 しかし兄の対処は冷静でフランベルジュをそのまま水渚の方へ投擲した。 「は?」 水渚は一瞬対処が遅れながらも、交わしきる。フランベルジュは地面に突き刺さる――前に兄は素早くとる。 「ちょ、その対処おかしいでしょ」 勢いよく投げたフランベルジュはましてや、体制が反対方向を向いているのだから取りに行くのに多少のタイムロスが生じ、確実にフランベルジュの方が先に地面に突き刺さるはずだった。しかし実際は投げたと思ったら兄がフランベルジュの着地地点に既にいて、安全に武器を手にしている。 「どんな動きしているのさ」 水渚は呆れながらも淡々とした口調を崩さない。それ以外の感情を忘れてしまったかのような――。 沫が周囲に満ち溢れる。それは円状に兄を囲む。 「ひゃははは、やっぱり楽しまなきゃねぇっ」 チャクラムを弟は楽しそうに投げる。チャクラムは勢いよく回転し、篝火めがけて飛んでくるのを交わし、戻ってきたチャクラムもまた交わす。回転する音で位置を把握して振り向かない。 回転の勢いをそのまま利用して弟は流すように二撃目を放つ。 「なっ――!?」 今度は直線ではなかった、うねるように曲がりくねりながらチャクラムは回転する。 篝火は慌てて回避する。髪の毛を僅かにチャクラムが持っていく。 [*前] | [次#] TOP |