零の旋律 | ナノ

始末屋突入


 明朝、朝食を食べ準備をする。武器の点検は普段から入念にしているため、連戦が控えていようと普段通りに点検をする。ジギタリスは銃を一旦分解して、拭き再び組み立てる。撃鉄や薬きょうの移動に支障がないかを確認してから銃を一つ一つ元へ戻した。
 一日お世話になった家を出る前に、意識を取り戻していた住人を再び気絶させてから縄を解く。リアトリスの結んだ縛り方は謎で、中々解けなかったホクシアがごうをきらして刀で無理矢理縄を切った。


 魔術師研究所がある入口には当然警備の人族が立っていたが、ジギタリスが遠くから射殺した。異変に気がつくよりも早く、物言わない死体の前を通り抜けていく。
 研究所内は異様に廊下が長く終わりが見えないといっても大げさではないようだった。
 入口に近い程に重要度が低く、入口から遠い程に重要度が高い。
 さらに重要度が高いものは、魔術回廊と呼ばれる魔術によって編み出された特殊な回廊を進んだ先にある。特殊な回廊は入口でまず魔術の封印を解除しなければならない。
 本来ヴィオラの魔術では解除出来るレベルの封印ではなくシェーリオルやミルラでなければ無理だっただろうが、ヴィオラはレスの魔術師であり幸運なことにヴィオラはその解除の仕方を記憶として読み取っていた。
 長い廊下を走っていれば、建物内で研究に没頭していた研究者たちも異変に気がつき――道中襲われたがアークが率先して撃退したので、難なく進めた。
 狭かった廊下の幅が広くなり、廊下というよりエントランスと呼ぶのが相応しい場所に到達した。その中央部分には、場違いな柱があり中央には魔術陣が描かれている。
 この先に魔法封じの大本がある、とヴィオラが一歩前に足を踏み出そうとした時、直感でそれ以上進むのをためらうと、足元付近の床に刀が突き刺さった。鎖が付着したそれは鎖の先に引っ張られ戻っていく。
 やや薄暗い場所から、漆黒の人物が姿を現した。柱の前に立ち、これ以上は進ませないという意志を示している。

「お前らはユリファスの住民か? この場には何をしに来た」

 淡々と、感情を抑えつけたような声色で、漆黒の人物――女性は問う。
 帽子を深く被っており表情は伺えない。漆黒の髪が歩くたびに靡く。身体のラインに合わせた服装がその人物が女性であることを物語っている。腰には鎖がついた刀を両方に刺している。先ほど投げたのも既に戻したのだろう、手には何も握られていなかった。


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