零の旋律 | ナノ

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「外見というものは自分の情報を多く提供しているものだ。いくら外見を隠そうとしても隠しきれるものではない、必要ならばアークとサネシスが戦った場合の勝率を教えるが?」
「いや、それは遠慮するってか結果は何となくわかるからいいよ。それにしても俺はもっと異世界へいく面子は多いものだと思ってたぜ。こっちの世界であればそれ相応に仲間はいるんだからな」

 ホクシアもサネシスの意見に同意なようで頷く。

「いざとなれば魔術師の世界へ人を送ることが出来るとカサネは考えているのだろうな。それに、重要なのはこの世界を守る方だろう、そちらに重点を置くのは何も不思議ではない」
「どうして……だ?」

 カイラが詳細を求めたのでジギタリスは言葉を続ける。

「例え魔術師たちの世界でアーク達が成功しても、その時此方の世界が既に魔術師たちと帝国に支配されていてはどうしようもないからだ。だからこそ優先すべきは此方の世界であり、此方の世界を防衛しながら攻めなければいけない以上、人数はどうしても少数になってしまうのだろう。それに――人数が多ければ多い程に潜入には向かない。そもそもカサネ自身が動かせる駒自体がそう多くはないのだろう。それにカサネはリヴェルアでやるための思惑もあるだろうな」
「どういうこと?」
「カルミアか、もしくはヒースリア辺りにイ・ラルトの王様でも殺してもらおうと考えているのだろう」
「随分と大胆ね」
「そうでもしなければ頭を撃ちとることが出来ないと考えたのだろう? イ・ラルトの王様の実力はかなり高い。下手に軍隊をぶつけた所で返り討ちにあうのが関の山だ。ならば無駄に人員をさくよりもカルミアやヒースリアの方が、確率が高い」
「確かに武功で王になったような人族だったわね」
「そういうことだ」

 ジギタリスの推測に魔族は納得した。そうであるのならば、そういう作戦を取ることに不思議はないと、尤もジギタリスの推測であり、本当の目的はカサネのみが知るのだが。


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