零の旋律 | ナノ

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「では私はカトレアと一緒にいるですよー。いこっ! カトレア。それと仕方ないですから主も持ってきまーす」
「仕方ないからってなんだよ!」
「いこ、アーク」
「わかったよ」

 リアトリスとカトレアにアークは腕を組まれながらその場を離れて行った。

「珍しいですね。まぁいいですけど、ラディカル。ちょっと来て下さい」
「ん? 俺っすか? まぁいいっすけど」

 カサネはラディカルの名前を呼びながら部屋から出て行く。残されたのはホクシア、サネシス、それにジギタリスとカイラだ。無言の空気が漂う。サネシスは気まずいと思いながらも殆ど会話をしたことがないジギタリスとカイラ相手に何を離せばいいのかわからない。それでも――

「なぁ、カイラはなんでサングラスをしているんだ? あ、いやしている理由はわかるけどでも此処ではする必要はないんじゃないのか?」

 カイラへは話しかけたかった。魔族でありながら人族のジギタリスと一緒にいる道を選んでいる青年。興味がないわけではないが、話す機会がなかっただけだ。

「……別に」
「そうか」

 沈黙が再び流れた。別段サネシスはお喋りな性格ではないが、それでも無言の空間には耐えられなくて話しかけたのだが一瞬で会話は終わってしまった。ホクシアは無言の空間を別段気にしないようで壁を背もたれにし腕を組んで立っている。

「カイラは余り他人と話すのが得意ではないだけだ、あまり気にする必要はない」

 サネシスの表情に気がついたジギタリスが言葉を駆ける。淡々としていて、カイラと同様此方も感情を読み取りにくい。

「そういえば、カサネがお前は相手を一目みれば大体強さがわかるといっていたが具体的にはどんな感じだ?」

 鍛えた身体や身のこなし、相手の纏う雰囲気で相手が強いか弱いかを判断する人間は数多いるだろうが、一目みただけで大体の強さが正確にわかるというのが聊か理解出来なかった。

「私の特技のようなものだと思ってくれれば構わない。そうだな……あの策士が決めたメンバーに関しては適材適所だと私は思っているぞ」
「具体的に話してもらえるかしら?」
「シャーロアとヴィオラならばヴィオラの方が強い以上、未知の場所へ足を踏み入れるには最適だ。まぁヴィオラもそれがわかっているし、妹を未知の危険にさらしたくないから自分が志願したのだろうな。そこに魔導を専門としない且つヴィオラより実力のあるアークやリアトリスが加われば安全度も増すだろう。私もアークやリアトリスよりだな。シェーリオル王子は魔導師としての実力はやはり、あの面子の中でもミルラに次ぐ。魔導が扱えなくてもレイピアの心得はあるようだしな、尤もレイピアの腕前でいうのならばシェーリオル王子よりエレテリカ王子の方が腕前は上だ。ホクシアに関しては魔法と剣術で戦うのだろう、ならば組み合わせとしては最適だ。大体の相手に対処出来る。アークならば武器を選ばない以上何でも扱えるというアドバンテージがあるし、リアトリスは接近戦に関して卓越している。私は遠距離が得意だしな」
「……一目見ただけで結構わかるものね」


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