零の旋律 | ナノ

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「所で“無音”の二人が実現する音無き戦闘はやはり魔導によるものですよね?」
「ネタばらしをするつもりはない」
「部分的で構いませんよ、此方がある程度推測を立てられる程度でお願いします」
「……極力光を通さない物質で銃の中を作り上げ、銃の中に魔石を入れある。それに合わせて銃自体にも最低限の音で済むような工夫をしてある。それによって音のない銃を作り上げている。まぁ後は私らの技術の問題だ。最終的に無音を完成させるのは技術だからな。だから魔導が使えなければ多少“音”はするが、“戦闘”という音があればその音でかき消される程度の弊害だ」

 ジギタリスの淡々とした説明にヒースリアは露骨に嫌な顔をする。自らの戦術をばらされて面白いわけがなかった。尤もジギタリスとて重要な部分は一切話していない。しかし、カサネ・アザレアであれば重要な部分を外してはなそうとも憶測でそれらの仕組みを理解するのではないかという思いがヒースリアにはあった。

「そうですか、ならばいいです。万が一のことも考えただけですし、例え魔導が使えなくても貴方達の戦闘力がその程度の弊害で弱るとは思ってもいませんよ」
「何だかそれって魔導師が凄く損している気がするんだけどなぁ」

 シェーリオルの呟きに云々とハイリが同意を示す。

「さて、私が異世界へ行くことに、反対はないが――カイラは此方において行かせてもらう。反対の意見は受け付けない」
「わかりました」
「ジギタリス!?」

 サングラスで瞳は見えないが驚愕していることは一目瞭然だ。カイラにとって大切なのはジギタリスだけで、ジギタリスがいる場所であれば死の淵だろうが何処だろうが一緒にいる決意がある。

「カイラを得体のしれない場所へ連れいくわけにはいかないからな」
「俺は、別に……」
「カイラ」
「……わかった。ジギタリスがそういうのならば俺は従う」
「有難う」

 優しい瞳でカイラを見るジギタリスに、ヒースリアは露骨に舌打ちをした。姉と弟であるが、ジギタリスのあのような表情を見たことがなかった。
 元々仲のいい姉弟ではないし、姉を殺そうとした自分がとやかく言う筋合いはないがそれでも聊か気分が悪い。


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