零の旋律 | ナノ

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「わかりました。こちらとしても全員魔術師の世界へ行ってもらうわけにはいきませんからね。アーク、貴方は勿論行きますよね?」
「行かないわけないだろう」
「でしょうね……戦闘狂の貴方が、行かないと言う選択肢はないと思っていましたよ」
「他はどうするんだ? あ、リィハとカトレアは置いていくぞ」
「また俺を置いていくのかよ!」

 一睡もしていないカサネとは対照的に、同じく治療に引っ張りだこで一睡もしていないハイリは疲れを見せていた。

「当たり前だ。魔導が恐らくは使えない場所にお前をつれてってどうするんだって、それにリィハの治療が必要な程怪我をするやつなんてリィハ以外にいないから安心しろ」
「またそれかよ!」
「それだ」
「私も残るですよ。カトレアを一人にしておくわけ出来ないじゃないですか!」

 リアトリスがカトレアを抱きしめながらいう。

「すみません、貴方は私のプランでアーク達と一緒にいくことになっています」
「はう!? 何ですそれ! 勝手に決めないでくださいですー! しかもなっていますって決定事項です!?」
「カトレアに関してはご心配なく、貴方がそう言うと思って手を打っておきました」
「手ってなんですかー」

 頬を膨らませて不満な態度を現しながら問う。

「……以前、貴方達が幻影のカルミアに出会っていることは知っています、ですので彼にお願いしました」
「い、何時の間にですかー!」
「貴方の知らない間にです。勿論返事は頂いていますので、大丈夫です」
「私に選択権がないですよー! 横暴です!」
「横暴も何も、今後もカトレアと一緒に過ごすため、ですよ。我慢しなさい」
「ぶーわかりましたですよ。カトレア、暫くお姉ちゃん留守にするですよ。ですからカルミアに張り付いて守ってもらってくださいです」
「うん、わかった」

 渋々承諾したリアトリスとは対照的にカトレアは素直に頷いた。血は繋がり且つ一卵性双生児であるはずなのにどうして此処まで性格に差が出るのだろうかとカサネは内心不思議に思う。

「では続けますね。ヒースリア、貴方は此方に残って頂き、ジギタリスはアークたちに同伴してもらいましょう。いいですね?」
「いいですね? と聞きながらもそれも既に決定事項なのだろう? 私は構わん、お前はどうだ?」
「……主と四六時中一緒にいなくてすむと言うのは光栄ですね。ですが一つ。何故そういう風にしたのですか?」
「ジギタリスが相手の強さを一目見ればほぼ正確に測れると聞いているからですよ。ならばある程度此方で情報があるこの世界より、情報のない世界の方で活用してもらいたいじゃないですか」
「成程。不愉快な程明確な答え感謝しますよ」

 感謝している雰囲気を全く見せず、刺々しい態度でヒースリアはそう言った。


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