零の旋律 | ナノ

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「では、B地点にはサネシスとカイラ、ヴィオラでお願いします。大丈夫ですか? 心配があるようでしたら、兵を追加しますが」
「構わない。足手まといが増えるよりはましだ」
「訓練を受けた兵士を派遣しますから、足手まといになることはないでしょう。けれど、あまり大所帯にしたくはないので少数精鋭で行きます。カイラ、貴方は問題ないですか?」

 ジギタリスが連れてきたサングラスをした得体のしれない人物に対して確認を取る。

「問題ない」

 そこで、カイラはサングラスを外した。隠された瞳が現れる、それは金だ。今までは自分の正体は知っているものにしか教えなかったが、この場では秘密にしている方が、面倒だと判断する。第一魔族が二人もすでに正体を隠すことなくいる時点で、そもそも隠すことすら無意味だ。
 尤も魔族だと正体を現したところで、魔法は使えないのだが。

「……成程。魔族でしたか。魔法を主としていますか?」
「いいや、むしろ魔法が苦手だ」
「なら、問題ありません。宜しくお願いしますね。他の方々も異論はありますか? なければ是で行きます」
「質問」

 ヴィオラが手を挙げるわけでもなく、淡々とカサネ・アザレアに問う。この面子で唯一名前を呼ばなかった人物がいた。

「アンタはどうするんだ?」

 そう、カサネ本人の名前は今まで登場していない。

「私は、作戦を練る関係上あちらこちらに出没するつもりです。尤も拠点は王宮になるでしょう。戦闘地区に私が足を踏み入れても邪魔になるだけでしょうから、その辺には赴きません。必要があれば伝令を飛ばします。魔法が使えるようになったら、王宮の魔導師に伝令をお願いすることくらい問題ありませんから」
「わかった。ならそうしよう」
「……では、一旦解散しましょうか」


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