零の旋律 | ナノ

始末屋日常


+++

「首を絞められて死ぬ主」
「自殺願望を見抜かれて毒薬を盛られ腹痛に苦しむ主」
「時限爆弾のタイマーをミスして、自爆テロになるレインドフ」
「フグの毒にあたって、偶々通りかかった一般人に腹部を鋭利なナイフで突き刺されるレインドフ」
「フッ化水素による攻撃を試みるが間違えて硫酸を自分にかける間抜けなアーク」
「釘ざしの形に処され、周りが歓喜するあ」
「てめぇら何してんだ!!」

 物騒な会話の羅列――しかも自分が最後につく内容に、最初は何をしているんだと思っていたアークだが、ついに口を挟む。場所はレインドフ家の食卓。朝食の時間になったアークは料理を作り終えた時だった、物騒な会話が聞こえてきたのは。

「え、しりとりですよ」
「しりとりになってないだろう!」
「何をいっているんですか、最初と最後が繋がっているからしりとりですよ」

 物騒な会話をしていたのはヒースリアとリアトリスだ。心なしか嬉々としている。

「文が長いだろう」
「主、レインドフ、アーク、始末屋を最後にくっつけて、前は主に関する悲惨な事を想像して言えばいいしりとりですから」
「…………どんなルールだよそれ」
「因みに面白くなくなったら負けです」

 新しい遊びを作っていたヒースリアとリアトリスに、アークは料理を作ってやるのをやめようか真剣に考え始める。

「主の料理が遅いので暇つぶしですよ」

 料理を作った挙句遅いと文句を言われるしまつだ。

「だー、てめぇら料理食わせねぇぞ!」
「主の横暴ですね! 職権乱用!」
「職権乱用してねぇし、そもそも主が何で料理を作ってんだよ!」
「そりゃあ、主が一番料理上手ですから、悔しいですが、しかし同時に自分で料理を作らなくていいと思うと我慢出来ます」
「なら少しは上達しろ!!」

 心なしかリアトリス達がきてからの方が料理の腕前が上達した気がする。
 益々料理人が欲しくなるアークだった。

「自分たちの為には上達したいとは思いますが、主にも食べさせるとなるとやはりそこは何かしら一工夫したくなるでしょう」
「一工夫がどう考えてもいい意味じゃないよな?」
「例えば毒を盛ったり腐った食材を混ぜたりとかいう意味ですか?」
「……もういい、食べるぞ」

 アークはこれ以上会話をしても折角作った料理が覚めるだけだ、と席につく。


- 13 -


[*前] | [次#]

TOP


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -