零の旋律 | ナノ

始末屋婚活2


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 ハイリによって強制的に三日間、仕事を禁じられたアークはベッドの上で暇そうにしていた。見合い写真を見ているが、やはり是だというのが見つからない。

「あー暇だ暇だ暇だ」
「あーるじ!」

 そこへリアトリスがやってくる。お盆には熱々の紅茶が並々に注がれていた。

「おい、リアトリス。何でこんなに飲みにくそうな紅茶何だ?」
「折角親切心で持ってきて上げたのに、失礼なものいいですね。別に主を火傷させようなんて考えていませんよ」
「言葉にしていうことで、実は考えていたんじゃないかと疑いたくなるぞ!?」
「失礼な。食べ物は粗末にしませんですよ! やるなら口を開かせて無理矢理飲ませて差し上げますよ」
「恐ろしいわっ」

 リアトリスはそのままアークに紅茶を渡すつもりがないようで、ベッドから起き上がらないと取れない机の上にご丁寧に置いた。それからベッドのまで戻り、ふかふかのベッドの上に座る。アークの足を踏まないように座ったのは親切心ではなく、単に踏んで血が染みてきたら嫌だと思ったからだ。

「主―」
「何だ?」
「とりあえず、主はベッドからどいてくれませんか? 私が寛げません」
「俺は怪我人だ!」
「では今から病人になります!」
「なんでだよ! で要件は何なんだよ」
「うっかり忘れそうでした、手紙が届いていたんですよ。シャーロアって人から」
「シャーロア? 情報屋がなんで手紙を」
「リィハも情報屋だって言っていました、それで不思議な顔をしていましたよー」

 シャーロア、それはかつてラケナリアを探し出す時に利用した情報屋の名前だ。
 現在依頼している情報ないのに、何故手紙を送ってきたのかハイリ同様疑問が湧く。
 アークは封を切り、手紙を取り出す。十代中ごろの少女らしい、可愛らしい便箋だった。

「ラケナリアのことか、まめだな」

 手紙の内容はラケナリアの生き残りがいることについてだった。特に、ラケナリアのリーダーである人物は未だ健在しているとこのこと。それは以前の依頼がまだ完了していないことを示す。

「なら怪我が治ったらまたホクートにでも行くか。行くか?」
「いきませんよー私はカトレアと戯れるんですから」
「ところでさ」
「なんですー? さりげなく服の袖を掴まないでくださいー」
「やっぱさ付き合わないか?」
「断固拒否します」
「ヒースから名案を聞いた後だとどの見合い写真よりもリアトリスがいいんだ」
「ヒースからの名案あたりがなければ、普通の告白みたいですね」

 聊か乱暴に手を振り回し振りほどいた後、柔軟体操を始める。


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