零の旋律 | ナノ

Prologue


「やっと、君と殺し合える」

 お互いに二人は向き合い退治する。お互いがお互い最も信頼している獲物を向けあい嘗ての“相棒”の姿を眺める。
 自然と笑みが零れる。

「俺も、ずっと殺してみたかった」

 悲しき性は抑えられない。殺したい衝動が溢れる。面倒事は全て片付けた。
 自由に動ける――今、此処で殺さずにして何になると言わんばかりに両者は今まで浮かべてきた笑みの中で最上級の笑顔を浮かべる。
 端正な顔は妖艶に、そして歪む。

『最初から殺したかった』

 何時か、殺し合える時が来るなら、それを待ち望んでいた。
 今がその時ならば――

「最後にして最高の終幕を飾ろう。誰からの干渉されないこの舞台で、最高の劇を演じよう」

 踊り抉るように獲物は嘗ての“相棒”の元へ飛んでいく。
 一切の迷なく、躊躇なく、容赦なく。

「狂喜の乱舞で最期を飾ろうか、血に染められたこの手で」

 全ては終わり
 どちらが生きるか
 どちらが死ぬか
 それ以外に、二人の物語は終われない


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