V 紫電の光が宙を舞う。四方八方から輝く紫電は自我を持っているかの如く蠢く。 白き刃は紫電を打ち払う。空気を斬るように一閃する。切り裂く。 それは空気を纏いし刃となり敵を殺すために進む。 「……流石はというところか第一の街の支配者の実力は」 「無駄口をたたく余裕が何処に?」 戦いが長引くに連れ、絡が不利な状況に立たされていく。 榴華の戦い方は、昨日戦った朔夜と似たような術を放つが、榴華の厄介なところは紫電の光を降らせながら、自身も巧みな足技を使いながら攻撃してくること。 朔夜と篝火、両方の戦闘スキルを合わせたような戦法を榴華はとってきた。 何より厄介なのは、自身の足に紫電の光を複合させているのか、一発一発の攻撃に重みと痺れを感じる。 刀を素早く扱いながら、榴華の攻撃を流していくのが精一杯の状況であった。 術を扱おうにも、由蘭みたく術にたけているわけではないく、上位の術を扱わなくとも詠唱が不可欠であった。 故に剣術で退けるしかなかった。 一人で戦いを挑むのは多少無謀だったかなと思う。 けれど烙には引けない理由がある。 絡は刃を振りかざす。 ――どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして 何度も聞こえる心を蝕む声に侵食されながら 己の半身が消えたような不安感に苛まれながら 日々を生きてきた どうして、何も言わずに目の前から消えていった どうして、と繰り返すうちに、心は沈んでいく怯えた心は人を寄せ付けなくなる +++ 「……このまま、じゃあ……」 建物の最上階で、見つめる一つの真白な真白な一輪の華が存在した 現実でも夢でもない狭間で 存在意義などないという華が咲き誇る。 ――大切だと認めているから消えることもある [*前] | [次#] TOP |