零の旋律 | ナノ

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 ――映らないから許せないんだよ

「てめぇら人様が寝ている時に突然爆弾を降らせるとはどういう了見だ?」

 泉の表情は初対面の人でもわかる程に、機嫌の悪さが露わになっていた。
 それは思わず後ずさりしたくなるほどに。

「あいつは誰だ?」

 突如建物を破壊して現れた、機嫌が悪い男のことを斎に問う。二人の表情が明らかに、この男を知っていたからだ。

「……泉。郁(かおる)の兄だよ」
「……家族共にくるとはな、余程か」

 その言葉に、嫌悪感を隠さずに言葉を返す。

「俺もさ、あいつの過去のことなんて何もしらないけどさ、でもそうやって、誰構わず、憎悪の瞳で相手を見るのは止めたら?」
「理由はなんであったとしても、罪人は政府の国で罪を犯した、それは事実だ」
 
 白圭は大剣の先端を斎に向ける。
 斎の瞳は揺るがない。

「どんな理由で罪を犯したか、それ自体知らないじゃないか白圭」
「……なら、お前はなんだ、ハルミネ。“同報殺し”が何も理由を語らなかったその理由はなんだ」

 一瞬、斎の表情は沈鬱する。ハルミネと、そう呼ばれたから

「もう、斎とは呼んでくれないんだ」
「お前はもう、仲間ではないからな」
「俺は例え白圭から仲間と見られなくなっても、それでも……あいつらを殺したことを後悔していないよ」
「その奥にあるものを決して語らないか、ハルミネよ」
「うん」

 それを語ってしまえば、大切な親友を傷つけることになるから。既に裏切ったことで傷つけてしまったとしても、それでも

 ――裏切ったと思い憎しみを俺に向ければいいよ。そうすれば生きていられるよね……?


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