]W 全部に攻撃をするのは別に不可能なことではなかったが、その衝撃で建物に被害が及ぶことが朔夜には容易に想像がついた。 「マジかよ……」 朔夜は爆弾のさらに頭上から雷を落下させる それは嵐の日に止まない落雷のように。 天の怒りともとれるような雷を無数に落下させる。 爆弾は頭上で、爆発音と火花を散らす。 それは周囲一帯を覆う程で、眩しく地上を照らし、そして暗い闇へと覆う。 しかし、全てを建物の被害が及ばないようにすることはできず、数個の爆弾は建物に直撃をして爆発音を周囲に響かせる。 「ちっ……」 斎は由蘭と朔夜の戦いを音で大体の現状を把握する。 「由蘭……考えなしに爆弾ばかり作りやがって」 斎は密かに舌打ちをする。 下手に何かがあると面倒だというのに。 しかし、白圭と敵対している以上、由蘭のほうに集中するわけにはいかなかった。 何せ、個々が高い戦闘能力を保有する白き断罪の一部隊をまとめ上げる隊長が白圭なのだから。 自分も嘗ては白圭の部下だった。故に白圭の戦闘方法は把握しているが、それは白圭にとっても同じことで、斎の戦闘方法も把握されている。 「……」 郁は怒りと憎しみが混ざったような瞳をしながら白圭を睨んでいた。 そんな郁の表情に斎は郁の過去に何があったのだろうと、疑問を感じていたが、それでも自ら進んで過去を暴くまねをしようとは思わなかった。 郁が斎の過去を問い詰めなかったから。 だから斎も郁の過去を問い詰めることをするつもりは到底ない。 今は―― ――いつか君の心が落ち着いたら話してほしい [*前] | [次#] TOP |