] +++ 不安定に揺れ動く心を必死に冷静を保とうとして、心に負担を掛ける 一体どれほど心に負担をかければ人は気が済むのだろう ――あぁ、誰か助けて 「……それは此方の台詞だ。お前らがどんな目的や心情を持っていようと、目の前で滅ぼされようとするものを、私は黙って何もしないわけではない」 「罪人は大切なものを奪うだけで、残された人の悲しみがわからない、奪われた人の悲しみがわかってなどいない、何故大切なものを奪い相手を悲しませた挙句のうのうと生きている!」 白圭の叫びに、郁は過去の映像がフラッシュバックしたように脳内に広がる。 広がる憎しみ。 ――ふざけるなっ 「ふざけるな! 政府とて奪うだけ奪い、そうして自分たちの都合の良いように事実を捻じ曲げるだけではないか!」 声を荒げる郁に、白圭はその通りと頷く。 「だが罪人は政府以上のことをしているではないか、政府は罪人を捕まえ、人が安心して暮らせるようにはしている、例え腐っていても、だがお前ら罪人はなんだ!」 罪人が悪だと決めつける白圭に、郁の形相が変わる。 ――確かに、罪人は罪を犯した人であり、法律に背いていた存在であり、悪でも、悪人だったとしても、それでも……! 深い絶望と怒りが複雑に絡み合ったようなそんな形相。 「政府が罪人を捕まえ人が安心して暮らせるようにだと!? ふざけるな!!」 「何をお前はそこまで激怒する」 「私らの暮らしを奪い、この地へ堕としたのは、貴様ら政府のじゃないか!」 「なんだと?」 白圭は郁の言葉に顔をしかめる。 政府が堕としたとはなんのことか、そして私らとは誰のことか。 しかし、思考に浸るよりも先に、白圭の言葉にキレた郁は二刀の刀を匠に操り白圭に斬りかかってきた。 「貴様ら政府など、ここ(罪人の牢獄)と大差などない!」 ――大切なら、傍にいてあげればいいのに [*前] | [次#] TOP |