零の旋律 | ナノ

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 何が正しくて何が間違っているのか
 そんなことは誰にもわからない

 けれど、信念は通そう


「白圭、何時に実行するんだ?」

 罪人の牢獄第一の街の中でも高い建物の上に街を見下すかのように、四つの白い影が並ぶ。
 その中で白圭(はくけい)と呼ばれた男は30代後半の外見。黒い髪は僅かに長く後ろで縛られているが、ひと房だけそれからははみ出している。白いコートに身を包みしっかりとした体躯。灰色の瞳が鋭く周囲を見渡している。
 罪人の牢獄を滅ぼし、歪みを正そうとし実行に移した“白き断罪”の一部隊隊長。
 その隣に並ぶのは腰まで伸びた漆黒の髪を上で一つに纏めている人物――絡(らく)。金色の瞳が鋭く辺りを睨んでいる。それは何処を睨んでいるのか。

 さらに白圭の後ろにいるのは、紅色の髪をし絡と同じように後ろで纏めているが、絡よりも髪の毛は圧倒的に長く、さらに下の方で丸い玉のようなもので髪の毛が動かないように固定してある。
 服には装飾の率が他の者たちよりも多い。黄緑色の双眸は、どこか悲しげに映る。名は想思(そうし)

 そして、想思より後ろにいて、瞑想をしているのか眼を瞑っているのは、この中で一番幼くそして身長も小さい。少女のような外見をした少年、由蘭(ゆらん)


「正午、この街の人間が最も多く活動している時間だ」
「了解」

 白圭の言葉に絡だけが頷く。本来無風である罪人の牢獄だが、街としての機能があるからか、何かの術の効力か――それとも他の要因か。風なき場所で四人の髪が靡く。


 ――断罪を今下そう

 悲しみを憂いを嘆きを恨みを全てを
 この地から奪い去ろう

 本来あるべき姿へと還そう


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