零の旋律 | ナノ

X


「敬う気持ちはなくとも従う気はあるよん。どーせ、それすら君がはじき出した物語の一部なんやろ?」

 榴華が声をかける。何処か含んだ笑みを銀髪に対して向ける。
 全てはこの支配者の物語だろうと語りかけるような笑み。

「ふふふ、どうだろうね」
「はぐらかすん下手やよね。まぁよいんけど、それを承知の上で俺らは君の元に集まっているわけやし。さて、そろそろ本題入ってくれん? 罪人の支配者よ」

 榴華は空になった紅茶を入れていたティーカップを机に置く。

「白き断罪――罪人の牢獄での罪人を殺しまくっている彼らを抹殺しろ」

 目的のために邪魔になる存在は――始末する。例えそれが、政府から援助により生かされている此処“罪人の牢獄”で、相手が政府直轄組織“白き断罪”だろうと関係がない。
 ――目的の邪魔になる存在には物語からのご退場を願おう。

「了解」
「承知した」
「わかったよん」

 其々が其々此処に応じる。曲がりなりにも、この地を支配しているのは――銀髪。
ただ梓だけは返事をすることなく、マイペースに紅茶を飲み続ける。自分のペースを乱すことはしない。紅茶は程なくして空になる。

「そういえば、水波ちゃんは今初めて喋ったねぇ」

 梓は、唐突に何かを思いついた無邪気な子供のように、第三の街の支配者に声をかけた。


 足掻け足掻け足掻け自らの目的が達成されるその時まで――


+++


 ふわりと舞い降りた白き花は
 人を幻想と夢幻の彼方へと導く
 麗しきその姿は、見る者に希望と絶望を与える。

「さようなら」

 白き花を添えよう、赤き花瓶に


- 49 -


[*前] | [次#]

TOP


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -