X 「敬う気持ちはなくとも従う気はあるよん。どーせ、それすら君がはじき出した物語の一部なんやろ?」 榴華が声をかける。何処か含んだ笑みを銀髪に対して向ける。 全てはこの支配者の物語だろうと語りかけるような笑み。 「ふふふ、どうだろうね」 「はぐらかすん下手やよね。まぁよいんけど、それを承知の上で俺らは君の元に集まっているわけやし。さて、そろそろ本題入ってくれん? 罪人の支配者よ」 榴華は空になった紅茶を入れていたティーカップを机に置く。 「白き断罪――罪人の牢獄での罪人を殺しまくっている彼らを抹殺しろ」 目的のために邪魔になる存在は――始末する。例えそれが、政府から援助により生かされている此処“罪人の牢獄”で、相手が政府直轄組織“白き断罪”だろうと関係がない。 ――目的の邪魔になる存在には物語からのご退場を願おう。 「了解」 「承知した」 「わかったよん」 其々が其々此処に応じる。曲がりなりにも、この地を支配しているのは――銀髪。 ただ梓だけは返事をすることなく、マイペースに紅茶を飲み続ける。自分のペースを乱すことはしない。紅茶は程なくして空になる。 「そういえば、水波ちゃんは今初めて喋ったねぇ」 梓は、唐突に何かを思いついた無邪気な子供のように、第三の街の支配者に声をかけた。 足掻け足掻け足掻け自らの目的が達成されるその時まで―― +++ ふわりと舞い降りた白き花は 人を幻想と夢幻の彼方へと導く 麗しきその姿は、見る者に希望と絶望を与える。 「さようなら」 白き花を添えよう、赤き花瓶に [*前] | [次#] TOP |