零の旋律 | ナノ

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 その隣には、ヒナちゃんと呼んだ人物がソファーに座っている。
 第一の街支配者榴華(りゅうか)赤髪は長く膝まであり一本に縛っている。翡翠の瞳が雛罌粟と視線があい、ニッコリとほほ笑む。それを雛罌粟は無視する。服装は赤のワイシャツに黒のズボン。ベルトは銀色。所々にシルバーアクセサリーをつけている。

「ならばよい」
「ヒナちゃん。なんども言うようやけどさぁ、もう少し可愛げある喋り方をしようよ、見た目は子供なんやから」
「我の口調に文句をつける前に、お主のその口調を直す方が先であろう」
「是は自分の特徴やん。勝手に直しちゃあかんやろ」
「直すのはお主だろうが。まぁよい。少しお主らは黙っていろ、話が進まん」
「それって私もはいるのぉ〜」

 ぶーと顔を膨らませる梓の動作は、聊か年相応に見えない幼さを醸し出す。

「無論。自覚があるなら口を慎め」
「ぶーぶーつまらないわぁ」
「面白い、面白くないで物事を図るな」

 ピシャリと、雛罌粟は言い放つ。程なくして、御盆に紅茶を5つ入れた銀髪が戻ってくる。

「ん? 何かあったかい?」
「特にないわよぉ、さっさと紅茶を私に差し出しなさい」
「はいはい」

 大人しく銀髪は向いあっているソファーの間にあるテーブルの紅茶を並べていく。

「相変わらずうまいやねぇ。ほんと」

 榴華は嘲るように笑い、そして紅茶を口にする。


「本当に、君らは上司を敬う気持ちがないよね」

 銀髪は思わずため息をつく。
 しかし彼らを選んだのは銀髪自身であった。そこに後悔はない。むしろ彼らのような役者がいてこそ――そう思うと口元は自然と緩む。
 
 探すのは――思い通りには動かない役者
 けれど、最終的には全て思い通りのシナリオへと進む高貴な役者

 銀髪は一人思案する。全ての目的を目的通りに進める為に。用意しておくのは本番を飾ってくれる役者たち。そしてこの場に集まるのは厳選された役者たち


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