第壱話:白き断罪 ――あぁ、そうか、これは罰なのか、生きている罪なのか 暗夜の中で何を思う故か―― +++ 篝火と朔夜、そして相対する烙。 未だ勝負はつかない。お互い決定打を与えられることなく続く勝負。 しかし、それは唐突に終わりを迎える。 「やめた」 突然そんなことを言い出し、絡は逃げの体勢をとった。 一瞬砂に足元をとられてバランスを崩したが、後方に退いていた為篝火の拳がやってくることはなかった。 「はぁ?」 その声に朔夜は眉を顰める。 「お兄さん、そのうち皺とれなくなるよ」 「うるせぇ」 「まぁ、それはおいといて、君たちは適度に強いみたいだから止めるよ」 「何故だ」 「これは、俺達白き断罪からの宣戦布告だと思ってくれればいいからさ」 刀をくるっと空中に一回転させて、そのまま鞘に仕舞う。 「何その動作、地味にかっこいい」 「どうも」 笑顔で手を振り始める絡の――先ほどの芸当をして刀を閉まった鞘を朔夜は見ている。 話が進まないと、篝火は密かにため息をつきながら戦闘態勢を解き普通に立つ。 烙に戦う意思がなくとも、篝火が攻撃範囲内に入れば確実に烙が鞘から刀を抜いてこちらに斬りかかってくる。今必要なのは、何故白い集団が殺しをこの地でしているのか――その理由を問いたかった。だから篝火は攻撃をしない。 「白き断罪ってのはお前ら白の集団の名前か?」 「そうだよ、俺らの組織名は白き断罪」 「……政府直轄組織『白き断罪』が何故罪人を殺す。罪人の牢獄を作り、そこで罪人を生かしているのは政府のはずだ。政府の意図に反していないか」 「!?」 後方にいた朔夜は驚き篝火の元に走る。 一方の篝火は朔夜が一瞬走るのを躊躇するほどにその瞳は凍てついていた 「かがり……」 途中で何も言えなくなる朔夜とは対照的に、絡は拍手をしていた。 「ご名答。白き断罪を知っていたわけか」 「犯罪者だからな。で、政府直轄組織白き断罪が何用でここに」 「今の政府は腐っているよ。どうしようもないほど、それはここが政府にとって利益があるから、罪人が生きているから」 「だから、罪人を殺すってのか?」 「あぁ」 はっ、と篝火はその答に冷笑する。 [*前] | [次#] TOP |