零の旋律 | ナノ

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 最果ての街に辿り着いた時、そこには銀髪がいた。

「珍しいな、どうした?」

 篝火と朔夜の様子に銀髪が声をかけると、朔夜は一瞬だけ恥ずかしそうに顔を背けた。
 だが、銀髪は気にせずに朔夜に話しかける。短くなった朔夜の髪の毛を見て銀髪は何も言わない。あえてそのことには触れないようだった。

「少し、元気になったみたいで良かったよ」
「?」

 銀髪の言葉に篝火はわけがわからず首を傾げる。

「あぁ、こっちの話。で何の用?」

 篝火たちが自分たちの足で訪ねてくることが珍しかった。

「夕日を見に行きたい。朔夜に夕日を見せてやりたんだ」

 銀髪なら可能だろ、そう最後に付け加える。
 この牢獄の支配者であるのならば。

「可能だけど、意外だね。夕日を見るだけでいいの?」
「へ?」
「もし、君たちが願うなら、国に戻ることだって可能だよ」

 予想外の言葉に篝火は言葉を失う。

「いや、俺の故郷はここだ」

 篝火とは違い、朔夜はすぐに銀髪の言葉を否定する。
 朔夜にとって罪人の牢獄は生まれ育った場所であり、そして自分を守ってくれた人がいる場所

「そう、ならいいけど。じゃあおいで夕日を見に連れて行ってあげる」

 銀髪は歩き出す、その後ろに二人は続く。
 そこは最果ての街の深淵。


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