零の旋律 | ナノ

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「で、どうするとは?」
「人数も減ったわ。このままやっていても、どうなるかわからないわよってこと」
「悠真は?」
「恐らく殺されたでしょうね。特に何も変化がないのだから、それに真っ黒い人が消えたり現れたりしていたから生きてはいないでしょうね」
「馬鹿なっ、悠真はああ見えてもかなり強いぞ」

 信じられないと砌の話を否定する。

「そうね、強さは認めるけど、単純な実力計算をするなら真っ黒い人の方が強そうよ?」
「なんだと!?」
「女の勘というところかしら?」
「ふざけるな」

 悧智は声を荒げる。対して砌は冷静なままだ。

「ふざけていないわ、事実よ。あの真っ黒人の実力は図れないし……第一、私の予想が当たっていればなおさらね」

 後半は独り言のように呟く。

「くっ……」

 雛罌粟の体力が少しでも回復するのを待っているのか、朔夜と篝火は雛罌粟の傍にいるだけで攻撃してこない。
 ただ、夢華を殺した悧智に対して、恨みを抱いている篝火の瞳は鋭かった。
 それでも攻撃してこないのは大局を見失わないため。

「まぁ、確証はある程度あるわ、それは追々話しても構わないけど」
「……ならば尚更こいつらを殺してからだ」
「ガキね」
「なんだと?」

 悧智の眉間に皺が寄る。年下の女性に餓鬼とはいわれる筋合いはなかった。

「このまま戦いを続けて何になるのかしら? 他の実力者がやってこないとは限らない……潮時よ」
「ならばいつ罪人を殺す」
「さぁ」

 砌はおどけて肩をすくめる。

「でも、一番人数を割いた此処がこの有様なら、他はもっと怪しいわよ」
「負けを認めろと? 生きているのに、まだ戦えるのに。死ぬのが怖いならお前一人でされ」

 砌はやれやれと手を振る。見た目に反してか、見た目と即してか悧智は頑固だと

「見た目と違って馬鹿みたいね」
「なんだと?」
「これ以上真っ向勝負をしても無意味ということよ。それにこの作戦を考えた律は裏切ったわ。それなのにこの作戦を実行し続けることに何の意味があるのかしら? 律が何も仕掛けてこないとも限らない。そうなると不利になるのは此方よ。潮時なら潮時で早々に引き揚げることね」
「……」

 なおも納得しない悧智に砌は軽く睨む。

「諦めなさい。そして冷静になりなさい」

 淡々とした砌の言葉に、悧智は冷静さを欠いていた事を認める。


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