零の旋律 | ナノ

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 光彩陸離が辺りを目立たせる不思議な土地に

「やぁ、久しぶりだねぇ、君がこの地に足を運ぶなんて珍しい」

 彼の者は訪れる。

「本当は此処まで来る気はなかったが、最近あの集団が目立った動きを見せているからね。此方としてはまだ困るんだよ」
「まだ、ねぇ」

 彼の者はうす笑いする。

「そう、まだだ。時期尚早だよ。だから、邪魔をされては困るんだ。俺の予定を崩されるのはね」
「まぁじゃあ私は君の予定が崩れないように、陰ながらお手伝いでもしようか? といっても私が手伝えるのなんて数限られた中でしかないけれどねぇ」
「――人形は別、だろ」
「ふふふ、そのとおりだねぇ、全くもって」

 彼の者は放つ。空へ大空へ羽ばたけと。

 大地が血に覆われても、空の闇へと束縛しよう

「曇天なる空が夜空を覆い、腐敗した奈落が大地を覆い、この地に安息はない。もともと、罪を犯した人が送られる腐った取引で成り立つ死の大地。今更、何かが変わろうとしても、根付いたものは切れない」


 だから、腐って腐敗して腐乱して、軌道修正が不可能な程にまで歪んで狂った。


「今更誰かが正そうとしても、こびり付いたものは拭えない。正義という言葉は遠き過去に滅び去ったのさ」


 血と奈落に覆われた世界でね。


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