Z 「……? 一体貴方は何故怒っているのですか?」 理解出来ないと紅於は首を振る。 「仲間を殺すことは許さん」 「誰に何を許さないのですか? 全ての元凶は貴方じゃないですか、貴方から始まっているのではありませんか」 心に深く突き刺さる紅於の言葉。 「それに、愛? 仲間? そんなくだらないものが一体何になるというのですか」 「ふざけるな!!」 「下らないと思いません? 人は結局一人でしかないのですから、下手な感情など不必要です、邪魔になるだけですよ」 「ふざけるな!」 激昂した白圭は怒りの感情のままに、紅於を斬りかかる。 「……早いですね」 宙を浮くような動作で、一回転しながら白圭の攻撃を交わす。 その動作はやけにゆっくりで、白圭の大剣を振るうタイミングと合わず、攻撃は避けられてしまった。 「全く。どいつもこいつも馬鹿しかいないのですかね。下らない」 嘲笑する。見下す、全てがくだらないと 「貴様は殺す、貴様は許さない」 「はぁ、貴方はただの復讐人形ですか? 下らない。他人の為に何をするというのですか」 紅於には理解できなかった。理解できなかったし理解するつもりもなかった。 「まぁ私に攻撃をするのは構いませんけど……」 紅於は袖口から細い糸を見せる。否、それは人の髪。 「何だ?」 白圭は予想外のものに、少しだけ冷静さを取り戻す。 「私は、呪術が得意な術者なのです。ですから……私に攻撃するだけ、無駄ですよ」 「だからなんだという」 「簡単です。貴方の攻撃は私の元へは届きません。貴方が私を攻撃した分だけ、そのダメージは全て少女や斎さんに届きます。最も、これは少女の髪の毛だけですけれどもね」 そうやって笑う。紅於はある種少年らしい残酷な笑みを。 「あの少女は甘いですよね。少女が攻撃するたびに斎さんにダメージがいきますよ? って笑いながら告げたら、あっさり攻撃しなくなったのですから。あはは、本当に愚かしい。他人なんて気にせずに私と戦えばよかったのに。不要な心配やもしもを考えてしまうなんて、おかしいですよね」 「貴様!!」 「あははっ、あの時の少女の顔は傑作でしたよ?」 それは相手を煽る為の挑発ではなかった。単純にそう感じたから紅於は感じたままに言葉にしたに過ぎなかった。それが紅於。 [*前] | [次#] TOP |