零の旋律 | ナノ

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「聴こえるかい、罪人共よ嘆き叫び喚く人の声が、お前らの犯した罪の犠牲者が」

 白き花を添えよう
 白き花弁を飾ろう
 白き模様を描こう

「滅ぼそう、罪人の大地を、政府の汚点を消し去ろう」

 白の断罪者は動く
 それは、何のためか
 どんな目的か



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「で、俺たちに態々話したのは殺されないようにって注意のためだけか?」

 朔夜は郁の方に確認を取る。
 そのためだけなら、態々ここまで足を運ぶ必要はない。時間を見計らってパン屋に行けばいいだけの話だ。篝火がパン屋にしょっちゅういるのだから。

「そんなわけねぇだろ。私らが、ここに来たのはその白い集団を見かけたら……」

 そこで郁は言いよどむ。
 否、正確にはほほえんだ。
 怪しく。

「抹殺しろってか」

 それに対して不機嫌顔が主な朔夜も怪しく微笑み返した。
 罪人の住まう場所だとしても、罪を犯した人だとしても、ここの場所にだってルールはある。
 それを破り、今の生活を揺るがすことなどは許さない。
 それが例え誰であろうと――復讐だとしても。

「その通り、それが目的だ」


 罪人の牢獄には第一から第三の街まであり、それらは最初の街と呼ばれる。
 そして、その街からさらに先に踏み入れた場所に最果ての街がある。各街には一人の支配者、そして罪人の牢獄全体を支配する支配者が存在する。
 第一の街の支配者の名は――榴華(りゅうか)

「榴華が命令したわけでもないが、街が崩壊するのは御免だろ?」
「あぁ。勿論だ」
「白い集団を――抹殺するぞ」

 それが、物語の一つの始まり。
 始まりは一つの白から――。


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