[ +++ 「聴こえるかい、罪人共よ嘆き叫び喚く人の声が、お前らの犯した罪の犠牲者が」 白き花を添えよう 白き花弁を飾ろう 白き模様を描こう 「滅ぼそう、罪人の大地を、政府の汚点を消し去ろう」 白の断罪者は動く それは、何のためか どんな目的か +++ 「で、俺たちに態々話したのは殺されないようにって注意のためだけか?」 朔夜は郁の方に確認を取る。 そのためだけなら、態々ここまで足を運ぶ必要はない。時間を見計らってパン屋に行けばいいだけの話だ。篝火がパン屋にしょっちゅういるのだから。 「そんなわけねぇだろ。私らが、ここに来たのはその白い集団を見かけたら……」 そこで郁は言いよどむ。 否、正確にはほほえんだ。 怪しく。 「抹殺しろってか」 それに対して不機嫌顔が主な朔夜も怪しく微笑み返した。 罪人の住まう場所だとしても、罪を犯した人だとしても、ここの場所にだってルールはある。 それを破り、今の生活を揺るがすことなどは許さない。 それが例え誰であろうと――復讐だとしても。 「その通り、それが目的だ」 罪人の牢獄には第一から第三の街まであり、それらは最初の街と呼ばれる。 そして、その街からさらに先に踏み入れた場所に最果ての街がある。各街には一人の支配者、そして罪人の牢獄全体を支配する支配者が存在する。 第一の街の支配者の名は――榴華(りゅうか) 「榴華が命令したわけでもないが、街が崩壊するのは御免だろ?」 「あぁ。勿論だ」 「白い集団を――抹殺するぞ」 それが、物語の一つの始まり。 始まりは一つの白から――。 [*前] | [次#] TOP |