Z 闇に堕ちた光は何を求め 闇に縋る闇は暗黒を紡ぎだし そして 黒い光を生み出す 「はっ、滅ぼされてたまるものか」 生きていたいからだけでなく、朔夜にとってこの街は生きていく術――以外の感情があった。 だからこそ、朔夜は罪人の牢獄を滅ぼそうとしている集団が許せなかった。 「その集団を、敵とみなし各街の支配者たちが動き出した。どうせ引きこもりの朔は知らないだろうから、伝えに来た」 「成程な」 確かに朔夜は郁と斎が教えに来るまで、その情報を全く知らなかった。篝火は知っていたのだろうかと思い視線を向けたが特に反応をしていない処を見ると知っていたのだろう。 朔夜は必要外外に出ないが、篝火は買い物などでしょっちゅう外出している。知っていても不思議ではない。 「現時点で判明しているのは、白い服を着ていることその程度だ。あぁ一部の情報によれば白い十字架をモチーフにしたピアスをつけているらしい」 「おい」 郁の注意事項に朔夜は思わず突っ込む。 「それって斎と泉と郁じゃねぇのかよ」 「あのねぇ……俺が白い服を着ているのは今に始まったことじゃないでしょ」 それに抗議するのは勿論白い服を着ている斎。 「まぁ、なんか殺気だった眼の罪人に襲われたけど」 「……駄目じゃねぇかよ」 「勿論、返り討ちしたよ」 「ご愁傷様」 斎は軽くため息をつく。白い服に身を包んでいるのは事実だが自分が犯人ならこの場所へなど足を運ばない。もっとも初めて斎をみた罪人なら勘違いをしてもおかしくはない状況だった。何せ斎は白い服を着た集団が殺人をしている、と知っても白い服を着るのを今なお止めていないのだから。 同様に泉と郁も十字架をモチーフにしたピアスをしている。しかしその色は黒だ。何より二人は真っ黒だ。 闇から覗く紅き眼 消えされ消えされ消えされ消えされ どんなに消し去ろうとしても脳内にこびり付いた記憶は鮮明な記憶として生き残る 消えされ消えされ消えされ そう思うばかり望むばかり [*前] | [次#] TOP |