零の旋律 | ナノ

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 罪人の牢獄、そこに明確な法等存在しない。
 国から見捨てられた場所に法はない無法地帯であり、人が死ぬのは日常的な空間
 此処は罪人の牢獄。罪を犯した者が来る場所であり、そこに逃げ道はないとされている。
 一度落されれば死ぬまで――囚われる牢獄。


「明確な人数は現在の所わかっていない……はずだ」
「曖昧だな」
「まぁな。だが此方と情報屋だ、そのうち判明するだろう、もっとも――」

 郁と本来ここに来るはずだった人物――泉は罪人の牢獄第一の街の情報屋をやっている。もっとも郁は情報の集め方を知らないが。

「兄貴が、情報をまだ開示していないだけの可能性もあるけれどな」
「まぁ、そりゃそうだな」
 
 情報屋が不穏な動きを発見したから事が発覚し始めたわけでは決してないし、情報屋が自ら進んで情報を集めようとしているわけでもない。情報屋は情報に見合った対価を渡せば――情報を提供する。
 最も、大切な人に危害が加わる――となれば、話はまた別であったが。

「此処まで告げれば、お前なら何が目的で私たちが此処に来たか、わかっただろう?」
「あぁ、このまま殺人が続けば、今まで多少なりとはあった秩序は崩れ、恐怖する罪人は暴走し、街としての機能が成り立たなる。街以外での生存など不可能に近い罪人の牢獄で、罪人は死に絶えるってわけか」
「その通り」

 謎の白い集団をこのまま野放しにすれば、遅かれ早かれ罪人の牢獄は滅びる可能性がある。
 存在していること自体がおかしなことである罪人の牢獄は強固でありそして脆くもある。
 街が滅びれば罪人たちは生きていくことは出来ない。
 罪人たちに訪れるのは――死


 街の外に一歩踏み出せば、所々に廃墟と化した建物。腐敗した大地。罪人の牢獄の大半を覆う砂には、この地特有の毒が含まれている。
 その毒は短時間ならば人体に被害を及ぼすことはない。
 しかし、長時間その毒を長時間浴び続ければ生命を奪う猛毒とかす。
 だから罪人は、街から街への移動する短い時間以外は殆ど街の外に出ることはしない。
 つまり街はこの地に生きる者の生命線。


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