[ 「で、お主らは一体、どうするつもりなんだ?」 雛罌粟が暫くしたところで、声をかける。 「んーそうだなぁ、白き断罪が次仕掛けてくるとしたら、何処だと思う」 質問に質問で篝火は返す。 「我に問うか。そうじゃな、全ての街に総攻撃をしかけてくるじゃろうな、それぞれ別行動をして」 「それこそ、罪人の牢獄をなめているんじゃないのか?」 「戦力を分散せざるえないのは、こちらも同じことだ」 「……それはそうか」 「それに第一の街には今はほとんど人がいない。第一の街で注意するのは榴華だけ、となると、そこに人選はさかぬじゃろう……泉、現在白き断罪は何人いるのだ?」 雛罌粟は手にしていた、ピンク色のリボンを渡す。 一見すると、それは情報を聞くための対価には思えないような、代物だった。 泉には到底似合わないような髪を縛るためのリボン。 だが、泉はその品物を見ると、僅かに口元を緩ませる。 「白き断罪第三部隊白蓮の隊長白圭。その部下で、砌、由蘭、焔、舞、律、それと白き断罪第二部隊陽炎の隊長悧智、その部下で後始末処理班の柚葉と悠真だ」 「何か、見知らぬ名前が増えておるな? 榴華が泉から聞いた白き断罪の情報とは、一部足りなかったりするが」 榴華は泉に対価を払って知った情報を、雛罌粟や水波たち街の支配者に教えていたのだ。 といっても榴華は水波とは殆どあっていなかったため、伝えたのは近日のこと。 「一部は、いなくなった。そして一部は増えただけだ」 「そうか」 至極簡単な説明しかしなかった泉だが、それで満足なのだろう、それ以上雛罌粟は何も言わない。 代価を払ったのにいわないということは、別に必要な情報ではない、そう判断したからだ。 代価を払った以上、それに見合った情報を提供するのが、情報屋泉の仕事。 そして、白き断罪の情報を教えた泉の中に、律の名前が含まれていたのは、律がこの罪人の牢獄にきている確証がすでにてきているから。 「第一の街には誰が向かう?」 「……その辺の情報は、律に邪魔されて、あんまりつかめていないんだが……、おそらく榴華の元には一人。多くても二人だろう」 「お主でも、邪魔をされることがあるんじゃな」 別に厭味でもなんでもなかった。雛罌粟はただ単に単純な感想を言っただけ。 知らないことがないのではと思える泉の情報網の邪魔をする、律という存在に雛罌粟は僅かに興味がわいた。そう、あの時見かけたピンク色の帽子をかぶった青年に 「誰がいくと考える」 こっから先は推測の領域でかまわなかった。 ある程度推測しておけば、自らが動く配置を考えることも出来る。 それに、確証で行動してしまえば、失敗した時の痛手は相当なものとなる。 だから、推測であれば、外れたとしても次の行動に移すことは、容易だろうと雛罌粟が考えてのこと。 [*前] | [次#] TOP |