零の旋律 | ナノ

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「……五年前……」

 斎は静かに口を開いた。

「五年前に白き断罪第三部隊の隊長である白圭は一時期姿を消していたんだ」
「……それで?」
「その原因は白圭の家族が強盗に殺されたことによる自暴自棄」
「……それが、あいつの罪人を恨む原因か」
「うん。白圭の家族は強盗に殺された。強盗殺人だね、でも政府は犯人を捕まえただけで、そのまま罪人の牢獄に堕とすだけで、その一軒を片付けてしまったんだ。だから白圭の怒りは収まらなかったんだろうね、白圭は一時期無断でいなくなった。……その後戻ってきた時の白圭はボロボロだった、何があったのは問い詰めても教えてくれなかったから、結局白圭が何をしていたのか俺は知らない」

 斎から語られる白圭の過去。白圭が罪人を恨む理由。白圭が罪人の牢獄を滅ぼそうとする原因

「けれどね、白圭は国を愛していたから、だから国を見捨てることもできなかったんだ。だから捨てようとしたけど、最終的には戻ってきた。そう俺は勝手に解釈をした」

 その解釈が正しいのか間違っているのか、それは白圭以外に知るよしもない。

「だがそれと、今回の出来ごとの何か関連性があるのか?」

 郁が今度は斎に問う。五年前に白圭がいなくなった事と、内通者がいる事の繋がりを感じられなかった。

「それはね」
「それは、白き断罪第四部隊“春蘭”が関係している……と思う」

 斎の言葉を烙が引き継ぐ。斎が何故元白き断罪だけで内通者の存在を確かめに行こうとしているのか、その理由がわかったからだ。

「一体白き断罪は何部隊あるんだよ」

 朔夜は呆れる。これ以上白き断罪が増えるのかと

「前に四部隊構成って教えたような気がするんだけど?」
「そうだったか? まぁ色々あったから忘れた」
「もーう。白き断罪第一部隊“桜花”第二部隊“陽炎”第三部隊“白蓮”第四部隊“春蘭”の四部隊構成で各隊に一人の隊長がつくの。人数は結構バラバラ。悧智率いる陽炎と春蘭は結構な人数がいるよ」
「なんで、人数に統一性がないんだ?」
「そりゃー、それぞれ部隊ごとに特色があって、その特色によって任務が変わってくるから、一概に統一出来ないんだよ」
「ややこしいなぁ」

 政府のことをよく知らない朔夜は正直な感想をもらす。

「じゃあ、そんな朔ちゃんの為の特別講座―」

 ババーンと自ら効果音を鳴らす斎と、若干あきれ顔の烙。
 だが、斎が無理に明るく振舞おうとしているのがわかっているから、誰も何も言わない。

「第一部隊“桜花”は女性のみで構成された部隊で、結構よくわかんないとこ」
「はっ? いきなり説明不足かよ」
「だって、桜花とは直接の接点が少ないんだよ」
「まぁいいや、で次は?」
「白蓮の仕事は主に、犯罪を犯して捕まっていない犯罪者の取り締まりがメインで、特に重罪者をとっ捕まえるのが主な仕事、だから大人数で色々やるよりか少数衛生の方が動きやすいってことで、人数は少ないの。街への被害度を考えてね」

 斎はその少数衛生の一人だったのか、と朔夜は腕組をしながら考える。この街に来た当初から斎は戦うことに慣れていた。その理由はそこにあるのかと納得する。


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