零の旋律 | ナノ

第壱話:足掻く


 ――失ったから、奪うために最期まで足掻く

 君と君らが生きた世界
 君と君が見てきた世界

 最期に残るのはどちらか

「最期の最期の悪あがきをするみたいだねぇ」

 二つの影は会話する。

「まぁ、そうでもしないと自分自身を保てないのだろうな」
「愚かだねぇ、そんなことをしても、彼らの何かが変わるわけないのに」
「それでも、そうだと例え心のどこかでわかっいても、どうしようもないのだ、それが人だ」

 二つの闇は微笑む。

「甲の薬は乙の毒。どちらが正しくて間違っているかなんて、わからないのだよ」
「けれど、その中で抗うしかないのさ」
「で、どうするんだい?」

 白き断罪を、どうするかという問い。

「勿論、最期の闘いにそえる華は絶望さ」

 闇から闇へ舞、そして自ら望む時を待つ。
 もうすぐもうすぐ最期のフィナーレへの駒がそろう。


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