零の旋律 | ナノ

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「あー、暇暇、暇」
「そんなに暇なら少し鍛錬でもしてきたらどうです」

 舞と悠真は隣どうしで、暇つぶしなのかジャンケンをさっきから繰り返している。

「それは面倒。だったらここでボクは悠真とジャンケンを繰り返している方が楽しい」
「なら、いいけど。あっ勝った。これで67勝30敗だ」
「だー!! なんで悠真はこんなにジャンケン強いの!? 実は密かな特訓とかしている?」

 倍以上勝たれている悠真に舞は、がーと声を荒げる。

「どういう特訓をするのさ」
「だって、こんなにボクが負けるなんて納得できないんだもん」
「はいはい」
「もう一回勝負だよ!」

 舞の負けず嫌いが発動したせいで、これからさらに暫く悠真はジャンケンをやることとなる。舞がジャンケンに飽きたときは420勝137敗で、悠真の圧勝だった。

「さて、お楽しみのところ悪いけど作戦、決まったよ」

 ジャンケン勝負が終わった頃合い、律が声をかける。待ちくたびれたと言わんばかりに律の所まで足を運ぶ。
 この拠点はもうじき必要がなくなる。

「まず作戦を決行する時には由蘭はこの場所の術の解除を」
「わかりましたわ。そうすればわたくしも思う存分戦えますわ」

 由蘭はこの場所の維持の為、ある一定上の力を常に残さなければならなかった。砂の毒に犯されない為に。だが、最後の戦いとなるのならば、拠点の為に維持する力も必要なくなる。

「明後日の明朝に決行しよう」

 終わらせよう。腐敗した大地を、奈落の地を、白く浄化しよう。
 この地は一体何の為に存在する。この地は罪人の牢獄ではない。ただの罪人のたまり場。
 政府が生かすことを決めた罪人の愚かな生き場
 政府が自らの利益を得るための場所
 それで政府が腐っていくのならば、その根源を断てばいい。

 白き断罪を下そう
 例え――それで白が赤に染まろうとも


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