第壱話:罪人の牢獄 +++ 朝日は登らない。 この場所は、国の地下深くに造られた空洞に存在す場所。 上は大地に追われているだけ、地面も大地。 罪を犯し罪人が行きつく果て“罪人の牢獄” 「この地に来て何年になるか……」 一人の青年は呟く。遥か彼方の場所を見上げるように 「さて、起きれ」 青年は目の前でベッドに横になり寝息をたてている青年を起こす。 「うぁ?」 気持ちよく寝ていた青年は途中で起こされ不機嫌な様子を隠そうともしない。 「朝だ、朝起きれ」 再び寝に入ろうとする青年を、もう一人の青年が髪を引っ張り起こす。 そんな日常。 此処は罪人の牢獄に存在する、本来なら存在すること無き街。 始まりの街の一つ。そしてその一角の室内 そこに二人の青年がいた。 一人は二十歳を少しばかり超えたくらいだろう、短く切られた金髪に緑色のバンダナを頭に巻いている。 薄いベージュのジャケットを羽織、中は薄水色のシャツが見える。それと同じ色のチョーカーを首に巻いて、深緑色のズボンを履いている。名前は篝火(かがりび) もう一人の青年の名は朔夜(さくや)歳は十九。 無造作に伸びた白髪は腰まである。一部だけ右側に赤メッシュが入っている。それと同じような色の瞳。ワイシャツを第三ボタン辺りから留め、黒いズボンを履き楽な格好をしている。 顔には明らかに不機嫌な表情が隠されることなく現れている。 ここは第一の街。罪人の牢獄に存在する四つの街の一つ。始まりの街、最初の街とも呼ばれるところ。 人が罪人の牢獄で一番初めに辿り着きやすいといわれるのが云われ。 第一の街で二人は暮らしていた。 本来ならこの土地は死を待つだけの奈落の血。 けれど、罪人の牢獄にはいつしか街があった。 そこで生きながらえた罪人たちは、ここで第二の人生を送る。 もう、国に戻ることは出来ない、ならばこの地で新しい生活を送ろうとして。 そうして犯罪者たちは生き残っていた。 [*前] | [次#] TOP |