零の旋律 | ナノ

V


 紅き大地は毒牙に覆われる
 紅に染められた大地に浄化はいらない
 黒き闇に白き光はいらない

 朱に染まりし世界に白き断罪は存在しない

 ――滅ぼせ

 ――生き残れ

 相反する二つが衝突する――


「ねぇ、愚かしいね、そして滑稽だ。誰も彼もが生という枠に縛られ続ける」



『罪人の牢獄』

 それは、本来なら存在しないはずの裏の世界。
 国を支配する政府が“表の世界”であるなら罪人の牢獄は“裏の世界”それは国で罪を犯した者を閉じ込めておく場所。
 国の地下深くの大地は広大な空洞が広がり、秘密裏に罪人は投獄される。
 一度はいれば抜け出せない死を待つだけの大地。

 是は、そんな罪を犯した人“罪人”の物語であり、罪人の牢獄で起きた一つの“物語”



 光が存在しないのなら
 闇は何処に存在するのだろう

 光が存在するから
 闇もまた存在する
 だけれど目の前に広がるのは闇ばかりで、光なんて見当たらない

 光と闇は存在し合うからこそ、そこに輝けるのだろう
 ならば何故ここに光がない


 ――ココニキボウハナイノカ


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