W +++ 物語はいつまでも同じページのまま止まらない。次へ書かれる。 ――ねぇ、どこまでも踊れ ――どうして、私なんかのために そう少女は嘆いた いなくなった世界の中で ぽっかり空いた空虚を埋められずに 大切で満たされていた あの日、あの時までは 不安で不安でたまらなくて、そして少女は―― 自らの痛みを埋めるための痛みに手を伸ばす +++ 舞う、まう。血飛沫。 世界を彩る色は――赤 彼女を躍動させる赤 凝固した赤 「あはっ、どうして、こんなに色々な闇が動いて回っても、最期には真っ赤に散るのかしらねぇ」 そこにある、それをみる。愛おしそうに赤に触れる。 「黒白だけの世界じゃ、終われない赤がそこにある。どんなに銀に羨望していたところで、何もないのね」 語る、語る。 返事をしないそこに存在する者に向かい。 彼女は唯、饒舌に。 返答は求めていない、誰も聞いていないと知っているから。 「結局貴方は、道化師にはなれなかった」 道化師を目指し、道化に心から成り切れる事がなかったその血を舐める――。 [*前] | [次#] TOP |