第参話:最期の聖域 最後の楽園にして最期の聖域 淵泉が何処からともなく溢れ、透明に透き通り、周囲には郁雰が漂う。 ここは胡蝶の夢か、自然であり自然とは一線を画するような不思議な空間。 本来罪人の牢獄には存在しない蒼穹が広がり、あたりを包み込む。 此処だけが、別世界なのだろうか。 徒桜が一面に咲く誇る。 ここは一体何処なのだろうか、この場所は一体何なのだろうか 夢見心地のような感覚に陥る。 幾重にも張り巡らされた碧き結界は正六角形を描き、この空間を包み込む。 碧き結界の入口で“銀色”が手を翳す。 すると、“銀色”を待っていたかのように、結界は開き彼らを歓迎した。 後に続き中へと足を踏み入れるのは、篝火、朔夜、斎、郁そして、雛罌粟。榴華は柚霧に会いに此処へは来なかった。 この場所へ初めて訪れた彼彼女らは、驚きのあまり呆然とし、言葉を発せられない。 唯、幻想的で、ここが虚偽の世界ではないかとすら、疑える程の空間に、唯酔わされる。 「ようこそ、世界最期の自然の地へ」 そこで、銀髪が彼彼女らより、数歩前に進み回り両手を広げる。 その蒼き瞳で何を見つめるか。 [*前] | [次#] TOP |