零の旋律 | ナノ

第四話:遙峰


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 ――さぁ、次なる物語を始めるのかい? まぁ僕にとってはどちらでも構わない。例えどんな方向に頃がそうとも、最終的な目的を君たちは崩せないのだから。気付いたところでどうにもならない、というものさ。

 深く沈められて深く絡められて
 モガイテモもがいても誰も何も助けてくれなかった
 微笑むだけ
 成果を楽しみしているだけ
 過程を楽しんでいるだけ
 唯傍観しているだけ

 そんなに望んだものなら、自らを実験とすればいいのに愚かな人は、自らが間違えることを恐れ、自らで失敗することを恐れた。だから、その――


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「うわぁーん、怖かったよー珀露(はくろ)」

 戯遊はスキップしたまま、繁華街を歩いていた珀露の後ろから抱きつく。
 珀露は嫌な顔をしながら、いきなり飛びついてきた戯遊の衝撃で前のめりになる。
 周りの罪人は一体何事かと一瞬だけ二人を見るが、第二の街で変人と有名な戯遊とは誰ともかかわりたくはないのか、そそくさといなくなる。戯遊は離れるのを見計らって、珀露は手を上げ戯遊の頭部を遠慮なく叩く。

「いたいっ、いたいっ、止めてよ! 珀露―私の最愛の人」

 珀露の叩く威力が上がった。

「いだだだっ……ごめんなさーい、止めて下さい」

 珀露の叩く威力が上昇中。

「黙ります、すみませんすみません。というか聞いて下さい珀露様」

 珀露の叩く手が止まった。

「泉が犯人は誰かってことを気にしていたわ。銃痕を見抜いていたし流石ってところだけれど、それにしても情報能力が異様に高すぎじゃない? あの子」
「……どうでもイイ」
「よくないわよ。あの人からの命令が執行できなくなったらどうするのよ」
「大丈夫、その時は、コロス」

 物騒な言葉を珀露は平然と口にする。

「ま、そうね。私には珀露と弓ちゃんが一緒だしねぇ」

 自分の武器である弓を指差す。

「武器、チャンづけしない」
「いいじゃないのー。にしても、本当に一体何者なのかしらね、犯人といい泉といい。まぁ私がそれを考えた処でどうにもならないのは明明白白よね」

 珀露からの返答はない。戯遊は独り言を呟きながらマイペースに進む。表と裏の顔を秘めながら。

「あの子は本当に目的が旗幟鮮明しているのね。でも何時かそれが崩れ去ったらどんな狂気に魅入られるのかしら」

 さいごまで見届けることはなくとも。

「疲れそうだから特別報酬宜しくねん」

 誰に対するわけでもなく独り言を続ける。


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