第四話:遙峰 +++ ――さぁ、次なる物語を始めるのかい? まぁ僕にとってはどちらでも構わない。例えどんな方向に頃がそうとも、最終的な目的を君たちは崩せないのだから。気付いたところでどうにもならない、というものさ。 深く沈められて深く絡められて モガイテモもがいても誰も何も助けてくれなかった 微笑むだけ 成果を楽しみしているだけ 過程を楽しんでいるだけ 唯傍観しているだけ そんなに望んだものなら、自らを実験とすればいいのに愚かな人は、自らが間違えることを恐れ、自らで失敗することを恐れた。だから、その―― +++ 「うわぁーん、怖かったよー珀露(はくろ)」 戯遊はスキップしたまま、繁華街を歩いていた珀露の後ろから抱きつく。 珀露は嫌な顔をしながら、いきなり飛びついてきた戯遊の衝撃で前のめりになる。 周りの罪人は一体何事かと一瞬だけ二人を見るが、第二の街で変人と有名な戯遊とは誰ともかかわりたくはないのか、そそくさといなくなる。戯遊は離れるのを見計らって、珀露は手を上げ戯遊の頭部を遠慮なく叩く。 「いたいっ、いたいっ、止めてよ! 珀露―私の最愛の人」 珀露の叩く威力が上がった。 「いだだだっ……ごめんなさーい、止めて下さい」 珀露の叩く威力が上昇中。 「黙ります、すみませんすみません。というか聞いて下さい珀露様」 珀露の叩く手が止まった。 「泉が犯人は誰かってことを気にしていたわ。銃痕を見抜いていたし流石ってところだけれど、それにしても情報能力が異様に高すぎじゃない? あの子」 「……どうでもイイ」 「よくないわよ。あの人からの命令が執行できなくなったらどうするのよ」 「大丈夫、その時は、コロス」 物騒な言葉を珀露は平然と口にする。 「ま、そうね。私には珀露と弓ちゃんが一緒だしねぇ」 自分の武器である弓を指差す。 「武器、チャンづけしない」 「いいじゃないのー。にしても、本当に一体何者なのかしらね、犯人といい泉といい。まぁ私がそれを考えた処でどうにもならないのは明明白白よね」 珀露からの返答はない。戯遊は独り言を呟きながらマイペースに進む。表と裏の顔を秘めながら。 「あの子は本当に目的が旗幟鮮明しているのね。でも何時かそれが崩れ去ったらどんな狂気に魅入られるのかしら」 さいごまで見届けることはなくとも。 「疲れそうだから特別報酬宜しくねん」 誰に対するわけでもなく独り言を続ける。 [*前] | [次#] TOP |